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オランダの学校教育13 ガラス張りの民主社会を反映する性教育と麻薬教育
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リヒテルズ直子さん
Date : 2003.03.14
Number : 013
ML ID : [diversity:1039]
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唐突なことを言うようだが、オランダの家のガラス窓は壁一杯に広くて、道行く人が容易に家の中を覗くことが出来る。それは、ドイツやベルギーなどの隣国からオランダにやってくると誰でもすぐ気付くことである。また、ポルダー「干拓地」で有名なオランダには本当に山らしい山が無い。空が広く地平線まで垂れ込めている。はるか向こうの何キロも離れた町が地平線の上に見え、教会の塔がつんと突き出ているのま
でわかる。要するに、山の向こうとか谷というような見えない隠れた場所が、地形にあまり無いのである。
和辻哲郎の「風土」風に言えば、「山無き国のオランダ人は、態度や行動にも影を作ることが嫌い」である。だから、家屋にも人の心にもガラス張り、のようなところがある。陰に隠れてこそこそするのはとても卑劣なことで、「どんなことでも自分が信じることなら堂々とやれ」というのがオランダ人の気質である。そういうオランダ人の性格は、この国の民主主義のあり方にも大きく影響していると思う。徹底した議論、すべての情報の開放など、「山無き国の風土」を髣髴とさせるオランダ人の社会的行動は否めない。オランダ人の伝統的宗教の主流であるプロテスタント・カルヴィニズムの禁欲的平等性・また古くから勢力のあった商人文化もみぎのようなオランダ人気質を強めるものではあっても、抵抗するものではないような気がする。あらゆる情報や議論や行動をガラス張りの状態に置いて、誰の目にも明らかにし、そして個人の「選択の自由」を尊重する。
学校における「性教育」と「麻薬教育」にもこの社会的気質が如実に表れている。
「性教育」と「麻薬教育」は、一般に、小学校の高学年と中学校で二度に渡り行われる。いずれも、性犯罪や麻薬中毒から子どもを守ることが目的であり、ひいては、社会不安を除去するという意図がある。
小学校では、性教育と麻薬教育は、教科の中でではなく、独立のトピックとして取り扱われているようである。小学校最終学年で、男女の生殖器の説明、思春期の心と体の発達、その男女の違い、性交とは何か、避妊薬品と避妊器具の種類と使用法に至るまで、男女の生徒が同じ教室で学ぶ。麻薬についても一通りの種類を同じ時期に学ぶ。
中学になると、「ケア科」で男女交際や性愛について、また、生殖器の保健管理の仕方、避妊などが取り扱われ、「生物」の時間に、男女それぞれの生殖器の機能や性交・受胎・妊娠などのプロセスが、これもまた男女共学の教室で教えられる。
アルコールやタバコを含む合法・非合法すべての麻薬についても、「ケア科」と「生物」の時間に、各種の麻薬それぞれについて、生産過程・効能・中毒のなりやすさ、健康への害悪の度合い、医療での利用法、ソフトドラッグとハードドラッグの違いなどが教え
られる。
性関係も麻薬使用も、「自分でその健康上の帰結がどうなるかわかってやるのなら、どうぞ『自由』におやりなさい。法律が決める『限度』を越えるものは、犯罪ですよ」という教え方である。
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