〈教育の多様性〉の会
  〈教育の多様性〉の会・メーリングリストより
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  オランダの学校教育 「刷新教育」2 社会性の重視
リヒテルズ直子さん

Date : 2003.03.06
Number : 005

ML ID : [diversity:0969]
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 『刷新教育』運動は、前述のように『個性の尊重』『個人』を出発点とする『個別の発達』を重視している点で大きな共通点を持ち、また、それが、従来型の教育に対する大きな違いでもあった。しかし、それだけでなく、これらの教育原理を詳しく検討してみると、それぞれに『個人』と同時に『社会性』の発達の重要性を説いていることに気付く。
 『イエナプラン』の学校では、3年から4年にわたる年令の開きのある子供たちが同じ教室で学び、そのような集団の中で学習することによって子供の社会性の発達を目指している。学校社会は、出来るだけ現実の社会と似たものでなければならない、という考えを基礎として、障害児や発達の遅れた子供も正常児と一緒に学校で学ぶことを提唱する。カリキュラムの中心は『世界オリエンテーション』というもので、理科・社会科・環境科・言語・芸術などの学科を統合する役割を果たす。右のような異質性の高いグループで学習することにより、知的発達ばかりでなく、感受性や指導力、対話の能力を身につけさせようとしている。
 『フレイネ』教育は、子供たちが、他の子供や、大人、さらに他の文化などの「経験」から学び、社会的問題に気付き、考え、議論する力を強調して「話」や「読書」を奨励している。「フレイネ」教育協会は、独自の児童書を発行しており、これは教材として他の学校でも使用されている。
 子供をできるだけ大人の既成概念から自由にして、具体的に人や物に触れて子供自身の、個々の速さに応じた発達を促そうとする「モンテッソリ」も、年令の異なる子供たちのグループを学習単位としている。
 「ダルトン」教育は、個々の生徒に対して、観察者・助言者としての教師が、日単位・週単位・月単位などで課題を与え、生徒が自分の責任で時間を配分し、計画を立て課題を遂行する、という、「個」の責任や自主性を強調する教育方法であるが、課題の中には、他の子供とともに、協同で遂行することが期待されているものもあり、そこには、集団内での協力・協同の能力の発達が意図されている。
 シュタイナーが提唱したフリースクールは、教育についての考え方の点でも、さらに、国の制度とのかかわりにおいても、他の「刷新」教育とは一線を画する特殊・独特の立場を持つものだが、「個性の尊重」や「社会性の重視」においては、他の刷新教育方法と重なる面が少なくない。「フリースクール」は、自然の教材を用い、生徒の創造性を尊重し、自然や他の民族の伝統などに大きな関心を払っている。
 これらの『刷新教育』には、従来型の、マス教育・教師から生徒に向けられた一方的な教育、という形態では、適応できない子供たち、いわゆる日本では『落ちこぼれ』として制度から放り出される子供たちへの対応に対していくつものヒントがあるように思われる。実際、肉体的な実年令と精神的な発達の度合いには差があることを認めるこれらの教育実践は、『落第』に対しても否定的なイメージを与えない。そして個人と個人の間に差があるのが社会の実相であることを人々に素直に受け入れさせる。

 
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