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リヒテルズ直子さん
Date : 2003.03.04
Number : 003
ML ID : [diversity:0951]
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市場原理の学校制度では、学校は『店』のようなもの、親や保護者は、子供の教育を買いに来る客、校長は、店長さんで、教師らは、店長さんに雇われた専門家集団、といったところである。
毎年、一月末から二月頃にかけての週末に、小学校や中学校は、公私立の別なく『オープンデー』を開く。その年の8月に入学予定の子供を持つ親たちが、子供連れで学校見学をする。校長を中心に、教師たちは、それぞれ工夫を凝らしたパンフレットを配り、学校説明の講演を開き、校舎を開放して、施設や教材を公開する。古い校舎の学校もあれば、新しいものもある。図書館が充実しているところもあれば、コンピューターの導入で一歩進んでいるところもある。校長や教師が学校説明をしたり、質問に答えたりするので、学校の雰囲気にも少し触れることが出来る。卒業後の進学データを用意しているところもある。
いわゆる、教科の内容やカリキュラムを細かに取り決めた指導要領や、教育委員会の規則などが学校を規制する度合いが日本に比べるとはるかに小さいので、それぞれの学校は独自性を強く主張することが出来るのである。校長は、『独自性』を主張し、それにどれだけ見合った教育を成功裏に提供することが出来るか、経営者としての責任を負っている。地方の新聞を通じて、自校の実践を紹介し宣伝することも校長の手腕にかかっている。
インスペクター制度は、原理的には、民主主義社会の立法・行政・司法の三権分立によく似ていて、『立法』的な文部省の示す『規則』にしたがって、『行政』的に各学校が教育を実践するのを、『司法』的に中立な立場で監視する役割を負っている。全国に何ヶ所かあるインスペクター機関から、定期的に視察のための学校訪問が行われ、学校側は、どういう原理でどのような方法でどんなカリキュラムを使って学校経営をしているか、年に一度報告書を提出しなければならない。報告書は、父母や保護者の要請に応じて公開されねばならず、インスペクター機関は、父兄からの苦情や質問などを常に受けることの出来る体制を作っている。
教育内容についての文部省の指導は極めて限られたものである。教科数や授業時間数を取り決めたもので、各学科の内容にはあまり詳しく触れない。指導要領なるものは、小学校にはなく、中学校でも、約10年前に作られたのが始めてである。それも、『転校生』のためにレベルを平準化することが必要だから、という理由で基準が設けられただけであって、何歳児が何を学ばなければならないか、道徳教育の内容は何か、というような口出しはしない。
小学校や中学校の教育内容を決めるのは、全国共通試験と進学先の学校の要求する知的発達のレベルと、学校それ自身が信条としている価値観である。また、個々の生徒の進路は中学校レベル以降、多様に分化しているので、ひとつの基準を目指してすべての子供たちが競争する必要はなく、それぞれ、進路を考えながら、そのために必要なレベルに達するよう自分に見合った発達をすればよいのである。
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