〈教育の多様性〉の会
  〈教育の多様性〉の会・メーリングリストより
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  オランダの学校教育1 大原則としての『教育の自由』
リヒテルズ直子さん

Date : 2003.03.03
Number : 001

ML ID : [diversity:0924]
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 オランダの学校教育の最も重要なキーワードは『教育の自由』である。『自由』とは、あらためて言うまでもないが、民主主義社会の『人権』論の中心にある言葉である。それだけに、この聞き慣れた言葉を、私たちは安易に受け止めがちである。しかし、それでは、『自由』という言葉への理解について、果たして日本人とオランダ人の間に違いがないのか、というと、少し疑問を差し挟まざるを得ない。オランダ人がこの『自由』をどういうものとして考えているのか、を理解することは、オランダの学校教育の制度や内容の拠って立つ根拠を理解するための重要な鍵である。
 オランダの文部省は、『教育の自由』の内容を、さらに「学校設立の自由」「教える自由」「教育を組織する自由」という三つの自由で説明している。
 そもそも、オランダの社会は、昔から商人らが大きな自治力を持ってきた社会で、イギリスなどに比べると社会階層性が乏しい社会であった。社会を分けているのは、寧ろ、キリスト教におけるカトリック(旧教)とプロテスタント(新教)、また、宗教とは別の社会主義的集団と自由主義的集団、に分かれており、オランダ人らは、このような社会の成り立ちを『縦割り集団』と名づけてきた。個々の縦割り集団の中でも、特にキリスト教集団は、旧来の学校が啓蒙思想に基づく『中立性』を強調していたのに対して、独自の道徳観や社会的価値観において、独自の重点をおいた学校教育の内容、教材、教え方、などが認められることを求めた。
 こうした『私立』校側からの動きによって、設立者がそれぞれの信条に従い教育を行う自由が、すでに一九世紀の初めに認められている。その後約四〇年にわたり、私立校側は、政府の補助金を獲得するための闘争を続けた。私立校は、『政府補助金』の獲得後、さらに、公立校との財政的平等を要求して闘争し、これが、一九一七年に確立されている。
 この経緯の結果、公立校は、『すべての公立教育は、法律の許す範囲内で基本原理を持たねばならない。この基本的規則とは、教育の正当性を示すものである。すべての公立教育は、各人の宗教的な理解を尊重するものでなければならない。公立一般初等教育はそれぞれの自治体で、十分な数の学校において行われねばならない。』という規則によって規定され、他方、私立校は、『法律的要件に従った私立一般初等教育は公的予算から公立教育と同じ補助を受ける。設立の自由は侵害されてはならない』と規定されたのである。
 この規則はつまり、公立校であれ、私立校であれ、何らかの『教育原理』を持って学校を立て、子供達を教育せよ、といっている。法的な要件を満たしている限り、公庫からの補助に公私の別はない、といっている。その結果、オランダでは、『主義』のない学校の方が珍しい。だから、親にとっての選択肢は確かに多様である。これが、オランダ流の『教育の自由』というものである。

 
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