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小貫大輔さん
Date : 2002.11.28
Number : 001
ML ID : [diversity:0465]
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小貫大輔です。
オランダに住んでいる友人から、オランダの生活事情に詳しいHPの紹介を受けました。「オランダ社会をとても正確に説明してくれるHPです」とのこと。「教育制度、ワークシェアリングについてなど、ただの解説ではない、生活者としての視点からの鋭い考察は、とても勉強になります」というので、のぞいてみました。
オランダの教育に関する情報が出ていたのでコピーします。
作者のリヒテルズ直子さんは、開発援助協力の仕事をするオランダの人と結婚して、7年前までコスタリカ、ボリビアなど南米にも長くいらした方だそうです。このメールの末尾に彼女から送られてきた履歴もペーストします。
以下はHPからのコピーです。アドレスは[LINK] です。オランダの教育に関するおもしろい記事がたくさんあるからぜひのぞいてみてください。***********************************************
市場原理の学校選び(第6号身辺雑感、2000.3)
学校教育が毎年8月の末から9月の初め頃に始まるオランダでは、その半年くらい 前になると新入生とその父兄のために各学校でオープンデーや説明会が開かれます。
日本のように小中学校の教育内容が全国一律に統一されていたり、校区制で通学する学校が自動的に決まってしまうという状況から見ると、なんでそんなことをするのだろう、と思われるかもしれません。
しかしオランダでは『教育の自由』として各学校や各教師が何をどのような方法で 教えるかについての自由がかなり認められていますし、父兄もまた自分の子供にとっ て相応しいと思われる教育を選ぶ自由が認められています。だからいろいろな学校が いろいろな理念に基づいていろいろな方法で教育活動を行なうのが当然であり、父兄は様々の学校でどのような教育が成されているのかを知った上で多様な選択肢の中から自分の子供に相応しい教育を選ばなければならない、のです。だから当然のこととして各学校はその教育理念と方法を主張する機会としてオープンデーを開くわけです。
まず学校の種類としては、カトリックやプロテスタントなどのキリスト教の宗派的 な倫理観に基づいて教育を行なう私立学校、その他、敢えて宗派的な主張をせず超党的な姿勢や世俗的な(個々の生徒の種々の信条を尊重するという)態度をとる、と主 張する学校、それからモンテッソリー、ダルトン、イエナプラン、シュタイナー等々の教育哲学者の方法論に基づく学校などがあります。
オランダの学校史をみると、上のような『教育の自由』はすでに1848年に確立しています。それは宗派的理念を教育の柱にしたいと望んだ私立校設立者の要請として確立したものです。彼等はさらに政府からの補助金を要求し1887年にそれが認 められます。しかし私立学校側はそれだけでは飽き足らず公立校と私立校に対する国 庫補助金による財政的平等確立をさらに求め、ついに1917年これが認められるに至ります。今からなんと80年以上も前のことです。そのお陰でオランダでは私立校 にいっても公立校にいっても子供の教育費に大きな差はありません。それが一人一人の子供の『教育を選ぶ権利』を保障しています。
日本のようにカリキュラムの詳細や教科書検定に文部省の管理が徹底し、全国一律の教育が行われ、高校ともなると、東大を頂点とする巨大なピラミッドを意識してすべての学校がタテに序列化されてしまう状況からすると、横並びの多様性はおそらく想像に難いものでありましょう。
中高一環の中等学校になると、前のような宗派性や教育方法だけでなく、ある学校は古い建物だがこじんまりとした家庭的な雰囲気であるとか、ある学校は最新のコンピューターを入れたり近代的な建物を使って指導しているとか、また、ある学校は大学進学者の指導に力を入れているが、こちらの学校は職業訓練校に進む子供たちの指 導に重点を置いている、あるいは他の学校ではできるだけ進路の幅を広くしてコース 間の移動が容易であるようにしている、とかの違いが出てきます。年によって傾向や 父兄等の評判が代わることも、当然あります。
つまり、こっちの花屋は今年はチューリップがきれい、あっちの花屋はバラがいつもいい、というのと同じ、まさに『市場原理』であるのです。校長先生は会社の社長 か店長さんのような忙しさです。
もちろんこれは「原則」といえば「原則」です。前に述べたような『在留外国人』問題にあるように、この『教育の自由』のために地域的に通学する子供の社会階層に偏向が出たり、学校間の教育水準に格差が生じる危険は、管理の大きな日本に比べると遥かに大きいでしょう。
その為近年オランダの文部省は、必須科目を定めたり、各教科の達成目標基準を設 定したり、インスペクター(監査官)による査定を強化したり、『学校ガイド』の作成を各校に義務付けるなどして教育水準の保持を図っています。
おかげで学校の校長先生は、単に学校の教育活動と運営に責任をもつばかりでなく、自分の学校が市場競争に耐える為の広報活動を展開し、かつ父兄や地域住民によい評 判を得ていなければならないという大変な責任を負うことになります。校長先生や教師等のストレスは並大抵のものではないようです。
しかし、、、、。『日の丸掲揚』や『君が代斉唱』の義務付けを巡って校長が教育委員会と教員の間で板ばさみになって自殺に追い込まれるような、そんな次元とは全然違います。
=リヒテルズ直子さん履歴=
1979.3 九州大学大学院教育学科修士課程修了(比較教育学)
1980.4 九州大学大学院文学科博士課程編入(社会学)
1981−1983 国際文化教育交流財団(石坂記念財団)の奨学金(年間全国から5名)を受け、マレーシア国立マラヤ大学人文学部人類学・社会学科に研究留学。マレー農村の農村社会変動の現地調査研究に従事。
1985.3 九州大学大学院文学科博士課程単位取得退学。
1983年より1996まで、オランダ国出身農業技術師と婚姻後、ケニア、オランダ、コスタリカ、ボリビア、に在住。この間、国際協力事業団の翻訳・通訳(日本語・スペイン語)、ボリビアのサンアンドレス大学で学部卒業者を対象に日本社会論と日本社会学について講義、など。
1996年よりオランダに在住。日本の最近の大学改革、日本政府による開発途上国に対する教育援助などについて、高等教育機関国際化に関するオランダの月刊誌に論考(オランダ語)発表。また、蘭領インド(インドネシア)時代の日本軍の捕虜体験を持つオランダ人との交流グループの会で、日本とオランダの歴史教育に関する比較考察についての講演(これは日本語訳を添付します。ここでも『教育の自由』についての日蘭比較を行っています)など。
著書:「地球を渡る風の音」西日本新聞出版社、1997年。ISBN4-8167-0437-X
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