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古山・小貫さん
Date : 2002.12.19
Number : 009
ML ID :
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古山: 生徒と親の発言権を封じたシステム作ったから、今こうなってるんですよ。教育で、もしおかしいことがあったら、市長さんとか議会に行ったとしますよね。そうするとね、これは一般行政と分離ですから市町も議会も教育に口を出しちゃいけないんですね。そんなことしたら、大変です、教育の独立を侵したということになるから。また、侵してはいけないものですよ。
最初、もちろん学校に行くわけですよ。たいては学校レベルで決められなきゃいけないことなのに、学校が決められなくて、教育委員会に行ってくださいと言う。この教育委員会こそ、本来の目的が、そういう親や住民の意見の反映なんです。ところが、教育委員会が、実質的には権限を持ってなくてね、決められない。文部省からの規則で縛られちゃってるんです。学校に対しては、実は、二重支配が行われている。教育委員会と、もう一つは、学校教育法施行規則という文部省令、まあ事細かに、何は何時間やって、施設はこうで、組織はこうで、ハシのあげおろしまで口をつけている。ここまで決まっていたら、なんで教育委員会があるのって、不思議に思ったね。それを決めるのが教育委員会でしょと。
小貫: あれ(学校教育法施行規則)、規則っていうでしょ。そこがおかしいよね。マニュアルだものね、本当は。公立学校の運営者にすれば、参考にするべきものはあったらいいだろうけどね。
古山: そうなんですよ。これがひどい使われ方をしていて、それで、命令しておいて、都合が悪くなるとそれはただの参照なんですよというんですよ。学習指導要領なども、その省令の中にあるものです。現場にやらせるときは、省令は法律に準じるんだとこう言ってくる。結局、公務員にとっては、文部省の省令は、聞かざるを得ないですよね。だから、現場に対しては完全な法律として働いている。
教育委員会すらなにも判断しなくも、全部運営できる体制になっているんですよ。たとえば、うちの子に給食食べさせなくてお弁当食べさせていいですかといわれると、学校は困っちゃうんですね、その程度のことで。決められませんから教育委員会に行ってくださいと。教育委員会も、書いてないことは独断で決められないから、文部省に行ってくださいと。ところが、文部省に行くと文部省は指導助言しかしちゃいけないんですよ。だから、私がやりましたとは言えないわけ。だから、それは各教育委員会のご判断になることで……。自分の職務をちゃんと守っていると、そうなっちゃうシステムなんです。みんなこれをただの役人のたらいまわしだと思っている。逃げだと思っている。それ以上のものがあるんです。昭和31年にできた体制が、そういう構造になってるんですよ。
小貫: 日本人の一番苦手な状況ですね。各自の役割が明確でないとき。このあいだ、カルロス・ゴーン(日産の現社長)という人の講演があって、ゴーンが、「日本人と仕事をしてどう思ったか、どうしたらうまくいくのか」と聞かれて、「日本人は、複雑な課題を与えられると行動を起こさなくなるから、明確な、細かい目標を与えなければいけない。そうすると、きちんと、見事にやり遂げる」と言った。「行動をおこさなくなる」というイメージがおかしくてね、笑ってしまいました。
古山さんが言う状況っていうのは、まさに日本人の苦手な「複雑な状況」ってやつですね。そういうときどうしたらいいか、自分の領分をこえてでも判断をしなければいけない状況。そこに追い込まれると、日本人は何もできない、何もしない。日本人は実務肌の民族だから、こういう風にやりなさいということが明確だと実力を発揮するけれど、大義に基づいて自分で判断する能力を求められたりすると、カルロス・ゴーン的に言えば「行動を起こせなくなってしまう」んですね。
古山: ただでさえそういうところに、こういう、どこに責任があるのかわからないのが、公式的にもうできちゃってるんですね。これね、ぼくは、中央集権無責任体制って呼んでいるんですよ。
実は省令一つで全部支配できるのだから、文部省の中央集権なんだけど、文部省は全然責任取れない、直接に指揮する権限をもっていない。そこでますます、省令や通達を出してあがく。
「ゆとり教育」をやってみた。あれって、発想はいいけど、現場から上がってきたものでないと、ただの価値崩壊ですよ。教員組合を潰しちゃったので、高いツケを払ってる。それでもだめだから、ええい、原因はこれに違いない、教育基本法いじったら、なんとかなるんじゃないかとやってくる。教育基本法って、深くて柔軟な法律ですよ。すこし、時代に合わないところもあるけど、解釈でなんとかなる。今の時代を救う力も持っているのに、読み取れない。
日本の社会科学そのものが弱くてね。我々はなぜこういうことをしてるんだろうか、彼らは何故こういうことをするのかということ、そこを事実ありのままに研究するというのをしない。すぐに、ああした、こうしたら、になってしまう。
だから、教育委員会を活性化しなきゃという話もそうですよ。ちゃんとみれば、教育委員会が活性化しないの、学校教育法施行規則のせいだってこと、すぐわかるはずだから。教育委員会を活性化させたかったら、学校教育法施行規則、これを除いちゃえばいいんですよ。これをはずします、だからあなたたちは工夫してください。そうすると、一発で活性化するに決まってます。
それを全部残したままで、君たち、これから教育委員会は頑張らなきゃいけないんだよ、自主的にやらなきゃならないんだよ、というんですよ。一生懸命がんばりだすんだけど、カリキュラムには触れないし、規則のある部門は触れないから、学校の外のことを探すんですよね。
地域と結びつこう。親ともっと対話しよう。
結局、やれることでないと探さないということになっちゃうんですよね。
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