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古山・小貫さん
Date : 2002.12.19
Number : 005
ML ID :
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古山: もうひとつ、教育委員会というのは移植された制度だし、そうとうに試行錯誤しないと、うまくいかないことがそれなりにあるわけです。力もつけてきているけど混乱も起こしているという感じで。
一般行政の方からすると、面倒ばかり起こすやつなんです。それでね、教育委員会の公選制をやめちゃってる。あんなもの、能率がわるいだけだという案が出てきて。昭和31年、1956年。
小貫: 南北朝鮮が休戦協定を結んで数年後のことですね。
古山: いわゆる55年体制のひとつです。教育委員の公選制をやめて、任命制にしちゃった。教育委員会で、人々が教育と結び付けるシステムにしてあるのを切り離して、文部省の下にいれた。ところが、教育委員会は一般行政と分離していたから、公選制と切り離して文部省の指導下に入れると、もう、人々と教育をつなぐところがないんです。
教育委員会は、文部省の支所になっちゃった。なんのバックもないから、文部省に太刀打ちできない。これをやった法律が「地方教育行政の組織と運営に関する法律」っていう、長い名前の法律です。軽率って言ってるのは、これのことなんです。日教組対策しか考えてなくて、教育の根幹をおかしくしちゃった。作った本人まで、じわじわと蝕まれるようなやつ。
これは、自民党がいきなりパンと打ち出して、これを聞いて、大学の学長たちがバカな!って叫んだ。それをやったら、民衆から声の届く道がなくなっちゃうじゃないかと。たちまち、東大、京大その他の学長が「いかがなものか」という声明を出した。日教組も反対運動を起こす。でも、自民党は「これで、日本の赤化が防げる」なんて使命感に燃えちゃってる。やりたい一心で、実は中教審も通してない。これも軽率だねえ、ほんとに。
せめて中教審くらい通していれば、「そんなに弱体化した教育委員会に責任を預けるのは危なくないか」くらいの意見は出てきたと思うんですよ。最後には警官隊導入で通しています。すぐ、議員同士で乱闘する時代だしね。たいへんな難産の挙句だったけども、法案が通って、教育委員会の公選制をやめちゃうんですね。それやるんだったら、学校評議会みたいなのを作らなきゃ。父兄が死んじゃうでしょ。でも、ただ、文部省の指揮下に入れた。
これじゃ、民主主義原則がないじゃない。問題が生じたときに自己回復できないじゃない。戦前と同じじゃない。ソ連と同じじゃない。
そういうときに、有識者に結構見ている人がいて、これやると危ないよ、教育が、親と子に責任取らなくなっちゃうよ。・・・それが、今起こってきた、この不登校問題なんですよ。軽率が、最後は悲劇ですよ。不登校問題は、親にとって死活問題でしょ? うちの子の一生がかかってるんだから。もし道があったら、何が何でも、市長様のところだろうが、教育委員様のところだろうが行きますよ。ところが、そのシステムが失われちゃってたんですよ。先生たちまでいっしょになって、「来れない子がいけない」って合唱した。
「苦しむほど強くなる」っていう哲学が、学校で自然発生していたもんでね。日本の軍隊ですでに蔓延していたしね。苦しめる者の言い逃れ、苦しむ者のすがる信仰みたいなものなんだけど、これってすごく危ないんです。どんなつらいことがあっても「ご修行です」でしょ。これって、カルトと同じじゃない。オウムに向かって、よく平気で石を投げるよ。
教育委員は任命だし、私は2万人の選挙民のバックアップがありますなんて言えない。おまけに文部省は予算、カリキュラムも握ってるわけだし、だから、教育委員会はだんだん何もいえなくなって、文部省が何を考えているのかな、それを窺うばっかりになりました。でもね、ずっと、それからいまでも、形式上は、教育委員会が最高責任者なんです。
文部省がそれから熱中していたのは、日教組つぶしですよ。そのころのあだ名が「自民党文部局」。結局、文部省はずっと弱すぎるんですよ。これが教育です、というもの打ち出せないで、「私は公務員ですから、言われたことをします」をずっとやってきた。というより、そもそも官僚が引き受けるには無理なことを引き受けてしまったんですね。
でも、だからって、教育委員会を公選に戻せば解決するって問題ではないんです。ベターにはなるけど。教育委員会だって、お役所でしょ。学校は、教師―生徒の人格関係が生命線なんで、そこからすべてが湧き出すようにして、自治が原則なんですよ。問題があったら親が直接なにか言えなければいけない。親からの文句が、教育委員会越しに「今後、気をつけるように」なんて届くと、先生たち「また、うるせえな」になったり、「なんていけなかったワタシ」って落ち込むだけでポイントをなにも理解しなかったりしちゃいますよ。親が、涙ながらに直接話すのがいいんです。個性を尊重したいなら、一人一人が話せるようにしなきゃいけない。
小貫: 日本の教育の問題は、東西の冷戦構造の産物なんですね。
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