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  The Else Klink Ensemble at The Eurythmeum Stuttgart Japan Tour

  エルゼ・クリンク‐アンサンブル/オイリュトミー舞台公演   Automn 2001






故エルゼ・クリンク女史

オイリュトミー芸術


訳:長桶陽一郎

(エルゼ・クリンク「オイリュトミー」英語版より重訳)
  芸術としてのオイリュトミーにはどんな特徴があるのでしょうか。 それは、音楽や語られた言葉そのものを動きとして表現する唯一の芸術であるということです。
  よく知られている運動メソッドであるリトミックをはじめ、あらゆるダンスやパントマイムとの違いを区別するために、オイリュトミーは「目にみえる言葉の芸術」、「目にみえる音楽の芸術」という呼び方によって世界中に知られています。 オイリュトミーは、手、腕、身体の流れるような表情豊かな身振り、複雑に交錯する迫力ある動きを通して、語られた言葉の一言一言や、音と音の関係を生き生きと見せてくれるのです。
  オイリュトミーの衣装(オイリュトミー・クライト)やヴェール(シュライヤー)には様々な色が用いられ、彩色された照明がそれぞれの演目に合わせ舞台上に異なった雰囲気を醸し出します。 ユーモア、悲しさ、敬虔さ、愛など、作曲者や作家の意図は、間や音、色といった総合的な芸術効果によって表現されるのです。
  私たちが言葉を話したり楽器を演奏したりすると、発声器官の動きや楽器の震えによって空気が動きます。 オイリュトミストの腕の動きは、この空気の動きが大きく表出されたものであり、詩や音楽のリズムは足の運びで表わされます。
  オイリュトミーは本来、その動きに何らかの意図や意味を読み取ることはできません。 私たちの聴いている言葉や音の中には、私たちがはっきりとは識別していないような微妙な動きが含まれていますが、オイリュトミストはそのような動きを身体によって実際に行なっているのです。 オイリュトミーをするとき、私たちの動きは見るもの聞くものと呼応します。 このように音を見えるようにすることで、私たちの“聴く”という行為の質はより高められます。
  オイリュトミーの2番目の特徴は、厳格に練り上げられた芸術であるということです。 オイリュトミーを動くためには、楽器の演奏と同じように訓練が必要です。 例えばF音(ファ)のシャープとG音(ソ)の間の半音を示す特別な動きや、‘O’(オー)という母音と‘A’(アー)というの母音の動きの違いについて学ばねばなりません。 オイリュトミストはたんに単語を綴っているわけではなく、体の動かし方によって適切な雰囲気を表しながら、言葉の中の主要な音を選び取って芸術的な動きにしているのです。
  オイリュトミーは1912年、オーストリア出身の哲学者ルドルフ・シュタイナーが、新しい道を模索していた若い舞踊家の要請にこたえる形で始まりました。 シュタイナーはオイリュトミーの最初のトレーニング内容を示し、個々の具体的な動きや動きの基本法則を明らかにしました。 オイリュトミーは現在、シュトゥットガルト・オイリュトミー校のような4年制の教育機関で教えられています。
  3番目の特徴は、オイリュトミーはすべての人のための芸術であるということです。 若い舞踊家でなくても習得できるオイリュトミーでは、舞台芸術家は自分の芸術を完成させるのに何年もかけることができます。 また、オイリュトミーは教室や会議で、職場での気分転換や心身に調和をもたらす全身運動として応用できますし、現にそうした取り組みは広く行われています。 オイリュトミーはまさに癒しの芸術なのです。
  オイリュトミー学校を卒業した後、特別の研修を受けてオイリュトミー療法士として医者と共に働くオイリュトミストもいます。 世界規模の教育運動であるヴァルドルフ学校では、教育のためのオイリュトミーが必修授業として取り入れられています。 全世界に1,000以上あるシュタイナー学校で、数多くのオイリュトミー教師が働いています。
  最後にオイリュトミーの特徴として挙げたいのは、その生成においてもその効果の面でも、オイリュトミーはたんに肉体的なものではないということです。 オイリュトミーの動作や動きは、生命力(エーテル)を実体として感得することによって生み出されました。 オイリュトミーを通して、私たちはすべての生物の生命体(エーテル体)との直接的な関わりを意識的に持つようになります。 スポーツや体操をするとき私たちは肉体の法則に従っていますが、オイリュトミーでは肉体は別の器官、つまり成長し生成する肉体にすべて備わっている不可視の生命器官の法則に従います。
  この目にみえない生命体を特徴づけているのは絶え間ない動きです。 オイリュトミーを体験する人は、オイリュトミーの動きをとりまいているもののなかに命を与える力を経験し、それによって別の次元へと引き上げられます。 練習を通して身体の各部位を意識的に動かせるようになり、それによって体に活力を与え調和させることができるようになるのです。
  ギリシャ彫刻を見ると、人間の生命体が完全で調和のとれたさらさらと流れるような形態の模写として表現されています。 現代の人類は、オイリュトミーを行い、見ることによって、演者が見える形にしてくれたオイリュトミーの動作や動きを追うことで、生命体を意識的に経験することが可能となります。
Greek
  シュタイナーは、人智学・アントロポゾフィーとして知られている自己開発の道を包括するコズミックな世界観を提示し、人間の多くの活動領域に新たな深い洞察、示唆、有益な技法をもたらしました。 この新しい動きの芸術は、宇宙の生きた精神的諸力に人々の意識を向けさせるというシュタイナーの衝動の重要な一部をなしています。 “見えないもの”を見えるようにすることは、すべての芸術家に与えられた課題であり、ヴァイオリン奏者がヴァイオリンを用いるのと同じように、オイリュトミストは身体を楽器のように用いるための訓練を受けているのです。 人間の喉が発話のための器官であるように、言語オイリュトミーでは全身がオイリュトミストにとっての器官となるわけです。