ELIANT 100万人署名キャンペーン
1 MILLION SIGNATURES ELIANT
このページではELIANT 100万人署名の背景についてご案内しています。
ELIANTと治療教育
多元主義のヨーロッパにおける人間の尊厳と個人の成長・選択の自由
EU(ヨーロッパ連合)はさらなる拡大を続け、影響力を増しています。 欧州法が、国内法の約7割に責任をもつまでになった今、治療教育と社会療法への注目度を高め、よい評判を確実にしておくことはきわめて重要です。 2007年1月1日以来EU加盟国は27となり、10年前のまだ15ヶ国で成り立っていた頃と比べれば、個々の加盟国の影響力は縮小しました。 しかし、EU全体としての影響力は増大したことになります。 今、EU共通の憲法を起草しようとする試みが現実味を帯びてきたのは実に喜ばしいことです。 EU市民の法基盤一般やヨーロッパ法の基本構造がさらに透明化することでしょう。 私たちが欧州連合の中で声をあげる時はすぐそこに迫っています!
基本権に関するEU憲章
以下、この憲章の前文(抜粋):
EUはその精神的かつ道徳的な遺産を自覚し、人間の尊厳、自由、平等、連帯という不可分にして普遍の価値観を基盤とする。
EUは民主主義と法の支配の原則に基づく。
EUはEUの市民権を確立し、自由、安全保障、正義の場を創出することにより、その活動の核心に個としての人間をおく。
ELIANTは、真摯に人間の尊厳を守る
EUが、多元的社会における人間の尊厳、個人の成長、選択の自由という伝統に基づいていることは、多くの条文に明らかです。 ヴァルドルフ学校、アントロポゾフィー関連のヘルスケア、治療教育、バイオダイナミック農業などのアントロポゾフィー関連の取組みはヨーロッパの思想家たちから受け継いだ遺産に基づくもので、その原理原則はヨーロッパの伝統にしっかりと根ざしています。 EUが規模を拡大し、複雑さを増すにつれ、物質主義、保守主義、あるいはさまざまなイデオロギーが台頭しつつあるのは見逃せません。 だからこそ、私たちは心を尽くして上記の原則を秘めた価値観を推進しなくてはならないのです。
さまざまな国際的な連盟組織が合同し、ELIANT(アントロポゾフィー応用事業欧州連合)を形成したのもそのためです。 ELIANTの目標は、多元的なヨーロッパ社会において人間の尊厳、人としての成長、選択の自由を推進し、これらの目標が社会に認められるよう取り組むことです。 そのためには100万人の署名が必要です※。
※ 2008年6月現在訳40万人の有効署名が集まっています。
市民権と「脱施設化」問題
EUの基本権憲章第26条には、障がい者を対等に社会に統合し、権利を認め、尊重する、とあります。
第26条、障がい者の統合:
EUは、障がい者の自立や、社会および職業への統合、地域生活への参加を保証すべく企図された条例から障がい者が福利を得る権利を認め、これを尊重する
欧州法は人権擁護的な障がい者政策のための新しいアプローチを成功裡に確立しました。 EU領域内では、このアプローチによって障がい者の市民権は尊重されます。 雇用、社会福祉、機会均等に関す欧州委員会は1996年7月30日、ヨーロッパにおける障がいに関する新戦略についての規約を採択しました。 この規約は、慈善よりむしろ権利を、人為的規範への順応要求ではなくむしろさまざまな差異が活きる機会を設けることを原則にしています。 この戦略は、障がいのある人々が孤立したり、排除されたりするのではなく、十全な市民権を手にし、十全な統合するよう努力するものです。
しかし空論家たちは、これをいわゆる「脱施設化」(deinstitutionalization)戦略を説く機会として利用し、「施設」の閉鎖を要求したのです。 「いまどきの市民は、そんなところを選んで住んだりするわけがない」という言い分です! この考え方では障がい者はみな一般社会で自活するよう宣告されることになりましょう。 スウェーデンを例にあげて、その手の政策がうまくいっているのは明白だ、と言う人々もいるでしょう。 しかし、「施設」の意味するところが不明瞭なまま、行き当たりばったりの数が示されたこともありました: 「なんらかの方法で30人が一緒に住んでいる場合」……それはまた結構なことです。
2004年、脱施設化に関するある会議で、ECCE(アントロポゾフィーの治療教育と社会療法のためのヨーロッパ協同組合)は、でたらめな数値ではなく 生活の質こそが第一だときっぱり主張しています。 数値目標はよいプロジェクトさえ抑圧するばかりか、たやすく無視されることもあるだろう、と述べてもいます。 幸いにも、ECCEは孤独ではなく、EASPD(障がい者を支えるヨーロッパ協会)とUNAPEI(フランスの親たちの連盟組織)も、生活の質に注目すべしとする要求を支持しました。 ECCEは一般の憶測ほどスウェーデン・モデルはうまく機能しないと指摘することもできました。
オランダのベーター・シベスマーは20年にわたりこのモデルの有効性を検証、『グルンネワルドの夢』(De Droom van Grunewald)、という題のたいへん読みやすい著作に調査結果を発表しています。 ちなみにカール・グルンネワルドとは、スウェーデンの障がい施策モデルを推進した人物です。 この著作はアップデートされ、おそらく2007年9月には英語版で出るでしょう。 スウェーデン人は自国のモデルを立派に推進したようですが、実際には膨大な欠点もあったということです。
幸いにも、このようなあらゆる努力のおかげで、ヨーロッパ全土で吹き荒れていた脱施設化論という空論の嵐は静まりました。 健全な常識が勝利をおさめ、まともな事態に戻りました。 目下の焦点は選択の自由です:誰もが、どこでどのように暮らすか、社会療法でおなじみのオープンな保護住宅共同体も含めて、決められなくてはなりません。 生活の質は現在、協議事項に入っています。
そうこうするうちに市民権、統合という考えが共通の話題に登場するようなりました。 これは大きな前進です。 すでにご承知のとおり、ぞっとするような状況が今もなおEU諸国のあちらこちらに存在しているのですから。
本当の統合に必要なのは参加することです。 それは、人々が社会においてこのことを深く自覚し、推進に取り組もうとする準備全般がととのったとき、初めて可能になることです。
アントロポゾフィー関連のNGOの協同
アントロポゾフィー関連の他の実践分野でも、人々はヨーロッパらしく活発です。 ECCE、ヴァルドルフ学校運動、バイオダイナミック農業、医者、アントロポゾフィー製薬会社、患者なども喧々諤々やっています。
2006年6月29日、ブリュッセルで、アントロポゾフィーに基づいて活動しているヨーロッパのNGOの10団体が、ELIANT憲章を議論し、署名しました。 この憲章は、アントロポゾフィーを応用した事業が、農業、教育、治療教育、医療をはじめとする分野で、ヨーロッパの文化(例えば人間としての尊厳と個人の成長)の中心となる価値に対して、注目すべき貢献をした、と正式に公言しています。 ECCEを含め、憲章署名者たちは、そのような目標に対しどのように貢献を続けたいか言明しています(憲章を参照のこと)。
欧州憲法には、ある組織が100万人の署名を提出できた場合、ヨーロッパ委員会は行動をとらなくてはならない、とあります。 欧州委員会は、この義務に従うことを確約しています。
ヨーロッパ憲法のための条約
第1条47項 参加民主主義の原理:
相当数の加盟国の国民からなる市民が少なくとも100万人集まった場合、これらの市民は、ヨーロッパ憲法施行という目的のために法的行為が必要と判断されるケースにおいて、ヨーロッパ委員会に対し、委員会の力の範囲内で、ふさわしい提言を発するよう促すことができる。
このような市民イニシアティブに必要な手順と条件に関する規定は、市民の出身参加国の最少数を含め、欧州法に定めるものとする。
ELIANT憲章が政治的な重みをもつためには、100万人の署名を集め、欧州委員会に提出することだ、と運動の実施を決定した次第です。 ここ数ヵ月のうちにありとあらゆるアントロポゾフィー関連組織が参加しています。
※ 詳細はこちらをご覧ください。
http://www.eliant.eu/
この運動がヨーロッパで存在感を得るには、積極的な支持が必要です。 確かに100万はかなりの数です。 しかし、 2007年、ヨーロッパ市民は約5億人、このたった2%で十分だということを忘れないでください。 国ごとに考えれば、オランダでは3万3千人、ベルギーで2万2千人、ドイツでは16万5千人の人々が何らかの形でアントロポゾフィー関連のイニシアティブと接点を持っています。 ウォルドルフ学校や治療教育、社会療法の親御さんたち、バイオダイナミック産品の消費者の方たち、アントロポゾフィー医療で手当てを受けている患者さんたちもいます。
これまでに、30万を超える署名が集まりました(2008年1月現在)。 さらに続けたいと考えています。 なんとしても100万を達成しなければなりません。 一目おくべき要素なのだと示さねばなりません。
ブリュッセルで発布される法規が加盟国の人々の暮らしに与える影響は、ますます大きくなりつつあります。 欧州閣僚評議会、欧州委員会に意見を聞き入れてもらえない人々は、発言権を拒否されたも同じことです。 ですから、国際的な連盟組織は力を合わせ ― ELIANT(アントロポゾフィー応用事業欧州連合)を形成したのです。
私たちはアントロポゾフィーとそこから展開したイニシアティブ、施設、事業は、多元的社会における人間の尊厳、個人の自由、自由な選択というヨーロッパの伝統に基づくものであることを、ELIANTを用いて示したいのです。 私たちはこのような思いで、共同憲章を起草しました※。
※ 以下をご参照ください。
ELIANT憲章(ゲーテアヌム医学セクションHP)(日本語)
http://www.eliant.nl/(オランダ語)
http://www.eliant.eu/(英・独・仏)
応用アントロポゾフィーの価値を認め、ヨーロッパのレベルでこれを支持したいと願うすべての人々は、 この憲章への署名によって、意思を表明することができます。
バイオダイナミック農業、ヴァルドルフ教育、アントロポゾフィー関連のヘルスケア、精神医学、障がいサポート、などのアントロポゾフィーの創意に満ちた応用を支持なさる皆様、ぜひ、その思いを今、ここで、署名の一票をもってお示しください。
2008年内に、ELIANTは100万人の署名を集めようと目指しています。 2008年1月現在、すでに30万以上集まりました。 オランダにいる私たちも自分たちの役割を担いたいと願っています。
ベルナルド・ヘルト
Bernard Heldt
この翻訳は2008年6月7日のELIANTワールドディに向けて公開された暫定のものです。 今後、適宜改訂していく可能性がありますことご了承ください。
- ■ 本ページの改訂記録 ■
- 参照ページ
-
http://www.eliant.eu/new/lang/en/?p=39
- 公開日
- 2008年6月11日
- 最終改訂日
- 現在のところ未改訂
- ■ 翻訳協力 ■
- ELIANTワールドディ翻訳プロジェクトチーム
-
浅野英公子 / 浦上裕子 / 中村麻理 / 冠木友紀子 / 秋元香里
ブレイクリー よしこ(カナダ) / 多々良陽子(カナダ) - 監修・編集
- 入間カイ / 佐藤雅史
