ELIANT 100万人署名キャンペーン

ELIANT 100万人署名キャンペーン

1 MILLION SIGNATURES ELIANT

このページではELIANT 100万人署名の背景についてご案内しています。

「21世紀のための学校づくり」

2007年7月12日、欧州委員会は「21世紀のための学校づくり」を掲げて、ヨーロッパ全域にわたる公の協議プロセスを導入しました。 この協議は、EU加盟国における学校教育の発展と近代化についての見解をまとめることを目的としています。 委員会は、各加盟国の取り組みを効果的に支援するために、EUレベルで共通のアプローチを行える分野を模索しています。 この問題に関心のある団体、特に市民社会の団体は10月半ばまで協議に参加することができます。

EUによる動き

EUによるこの新たな発議はEUレベルで教育問題を扱う場合の通常のプロセスです。 この分野でのEUの役割は、教育の質を高めるために加盟国の協力を促進するに留まり、加盟各国のカリキュラムの内容と教育システムを策定する責任や文化と言語の多様性を認めなければなりません。 これらの制約を踏まえた上でも、加盟国間における教師や生徒の可動性を促進することや、情報や経験の交換といった共通のゴールを達成できるよう、EUが支援することは可能であり、また支援すべきと考えられます。

ここに見られるような、教育分野におけるEUのごく限定された責任範囲は、他の分野でEUに与えられた権限とは異なるものです。 例えば、農業と食物の分野、加盟国間における医薬品の自由な流通の分野、あるいは、消費者保護の分野では、EUは国内法令を変える拘束力をもつ法を制定することができます。 それにひきかえ、教育部門には、わずか3つの行動手段しかありません。 まず、個別の学習プロジェクトを財政支援するプログラム。 次に、いわゆる「開かれた調整方法」と呼ばれる、加盟国政府間の協力。 そして、3つ目は、欧州理事会と欧州議会によって加盟国に指示される、法的拘束力のない「提言」です。

※ 例えばコメニウス・プログラムなどが挙げられます。
コメニウス・プログラム(英)

市民社会の貢献

しかしながら、ブリュッセルのELIANTのメンバーかつ支援者として、ECSWE(欧州シュタイナー/ヴァルドルフ教育評議会)の担う役割が、農業と医療に関連した姉妹団体よりも軽いと考えるなら真実とはほど遠いと言わざるを得ません。 それどころか、ECSWEは他団体と同様に、まったく油断ならざる状況にあります。 ここ数年、教育分野におけるEUの「弱い」動きが、加盟国の教育システムの将来設計に無視できない影響を与えることは明らかで、それがひいては各国の状況下において国からの経済援助を受けない学校にも影響をおよぼすことになるでしょう。

※ ECSWE(欧州シュタイナー/ヴァルドルフ教育評議会)
European Council for Steiner Waldorf Education(英文)

しかしここで注目していただきたいのは、ELIANTの支援があれば、ECSWEには党派的な利益の代表というより、むしろ市民社会団体として、今後数年間のヨーロッパにおける人間に即した教育を共同開発する機会と任務があるということです。 つまり、ヨーロッパの文化的多様性の確立に全面的に貢献できるということです。

その任務とは現在進行中の具体的なものです:10月15日までにECSWEは上述の協議に添って「21世紀のための学校づくり」と題した意見書を提出します。 提出時に、できるだけ多くのELIANTの署名によって意見書への支持を示すことができれば、より望ましいのです。 ECSWEは他のNGOネットワークの一環として貢献を行います。 ECSWEのメンバーの中には、effe(教育における自由のための欧州フォーラム)※1に所属する者もいます。 ECSWEとeffeはEUCIS-LLL Platform(生涯学習のための欧州市民社会プラットフォーム)※2において、教育分野で活動する他の10の市民社会団体と共同作業を行っています。

※1 effe(教育における自由のための欧州フォーラム)
European Forum for Freedom in Education(英・独・仏)

※2 EUCIS-LLL Platform(生涯学習のための欧州市民社会プラットフォーム) 編注:生涯学習に関する団体の協議の場を提供するネットワークのようです。
European Civil Society Platform on Lifelong Learning(仏)

その課題

この任務が広範囲にわたる重要なものであることを明らかにするために、ここにいくつかの点を付記します。

  • 質の高い一般教育と職業トレーニング方法の開発は、世界経済のなかでEUが活力に満ちた、競争力のある知的集約型経済領域に発展するための手段として採択された、成長と雇用のためのいわゆるリスボン戦略の重要な要素である※1。 ここで、人々はヨーロッパの最も重要な「資産」であると見なされている(人的資源)。
  • リスボン戦略の目標は、教育分野においては「一般教育と職業トレーニングのための作業計画2010」により達成される。 これに関連して、とりわけ、加盟国の平均的な「教育到達度」の改善を測定するために欧州基準レベルが開発された(例:識字能力、中途退学など)。
  • EUが緊密に連携しているOECDは、よく知られている国際的な学力比較研究PISAとTIMSSを開発・実施してきた団体である。 これらの試験は生徒の成績を検証し、その結果にしたがって各国の教育システムの質についてのランクづけを可能にするものである。
  • EUの作業計画の主要な成果は、「欧州議会と理事会による、生涯学習のための主要能力(キー・コンピテンシー)を認定する提言」(2006年12月18日)※2である。
  • 準拠するべき枠組みとして、8つの主要な能力が指定された。 外国語、数学と基礎科学および技術分野、社会的市民としての能力、文化意識などである。 加盟国は、各々の教育およびトレーニングのシステムが、しかるべき主要な能力を育て、社会人としての自信とその後の学習と雇用に向けた基礎を形成できる機会をすべての若者に確実に提供できるようEUより勧告されている。
  • 委員会による、上述の21世紀のための学校づくりに関する協議導入の文書※3は、上記の点を参照している。 例えば、質問1は、すべての生徒にあらゆる主要な能力をつけさせるためには、カリキュラムおよび学校はどのように組織されるべきか、という質問である。 質問7は、それでは、教職における課題に対応できる教師をどのように養成し支援すべきかとの質問である。

※1 Europa参考記事
Success of Lisbon strategy hinges on urgent reforms(英)

※2 「欧州議会と理事会による、生涯学習のための主要な能力を認定する提言」
〔2006/962/EC〕(英)

※3 「21世紀のための学校づくり」
SCHOOLS FOR THE 21ST CENTURY(英)

求められるコミットメント

教育分野におけるEU加盟国間の協力では、人間としての尊厳を基準にした教育と職業トレーニングを支援し、個々の児童や青少年の能力とニーズに対応しようとする姿勢が散見されます。 例えば、個人的、社会的、文化的あるいは経済的理由により、教育上不利な立場に置かれた若者には特別な対策が用意されることになっています。

しかし、全体を見ると、市民社会の参加という明確な課題があります。 私たちはEUレベルでの教育政策討議が、経済的要因のみに基づく一方的で偏った視野に陥らないようにしなくてはなりません。 そして私たち市民社会団体は、学校やトレーニングセンターの自治、また、多様な教育の実現という重要な側面を強調する必要があります。 さらに、加盟国の教育政策の指標を標準化していこうという傾向は、EU法に本来備わっているため避けられないものではありますが、それが開かれた国境と国家間交流を維持するために妥当な域を超えないことを強く主張しなければなりません。 ELIANTとそのメンバーは、志を同じくするNGOとともに貢献することが求められているのです。

ユルゲン・エルトメンガー博士
Dr. Jürgen Erdmenger

この翻訳は2008年6月7日のELIANTワールドディに向けて公開された暫定のものです。 今後、適宜改訂していく可能性がありますことご了承ください。

■ 本ページの改訂記録 ■
参照ページ
http://www.eliant.eu/new/lang/en/?p=38
公開日
2008年6月11日
最終改訂日
現在のところ未改訂
■ 翻訳協力 ■
ELIANTワールドディ翻訳プロジェクトチーム
浅野英公子 / 浦上裕子 / 中村麻理 / 冠木友紀子 / 秋元香里
ブレイクリー よしこ(カナダ) / 多々良陽子(カナダ)
監修・編集
入間カイ / 佐藤雅史