ELIANT 100万人署名キャンペーン

ELIANT 100万人署名キャンペーン

1 MILLION SIGNATURES ELIANT

このページではELIANT 100万人署名の背景についてご案内しています。

現行EU法によるバイオダイナミック農業と食料品生産への侵害について

デメター・インターナショナルは、ここ4年間、ブリュッセル(EU本部がある)で政治的な働きかけを積極的に行ってきました。 より長期的な目標を達成するにはEUに対するロビー活動(議員などの政治家への働きかけ)が必要だということが明らかになっています(下記バイオダイナミック調合剤の例を参照)。 しかし、今後さらにEUに働きかけ問題を解決していくには、バイオダイナミックの様々な動きにおいて他の分野からの支援やアントロポゾフィー応用事業者からの支援が早急に必要だということもわかってきました。

このような理由から、デメター・インターナショナルはELIANTに加盟し、その活動をたいへん重要視しています。 そして、すべての支持者に対し、この署名活動への支援と署名を呼びかけています。

以下では、EU法がバイオダイナミック農業・食品生産に多大な規制をかけている事例を4件ご紹介します。

事例1
EU法の規制によりバイオダイナミックの離乳食に人工ビタミンの添加が強制されている

1996年、EU議会は穀物を原料とする離乳食の成分を規制するガイドラインを通過させました。 これによると、穀物の離乳食やベビーミルクのビタミンB1含有量の下限を100キロジュール(約1/4キロカロリー)あたり25µグラムと定めています。 この最低含有量は、全粒の穀物製品に牛乳を加えたとしても達することのできない、高い数値です。

これに対し、世界保健機関(WHO)や国連食糧農業機関(FAO)はこの基準よりもかなり低い量で十分だとしています。 FAO / WHO合同食品規格委員会が推奨するビタミンB1必要最低量は、100キロジュール当たり12.5µグラムに過ぎません。 この規格でいくと、人工ビタミンを穀物離乳食に添加しなくても十分この水準に達することができます。

高い水準のビタミンB1含有量を義務付けるEUの離乳食ガイドラインに従うということは、デメター農業生産者連盟が定めたバイオダイナミック・ガイドラインに従って製造された離乳食には人工ビタミンの添加が強要されるということになります。 このようなビタミン添加の義務付けは、環境に配慮しながら生産・加工される製品が目指す方向性と相反するものです。

オーガニックやバイオダイナミック商品を志向する消費者は、自然で環境に優しい方法で商品が製造されることを期待しています。 なにより、もともと原料に存在しないものを添加すべきではありません。

デメター・インターナショナルは、オーガニック・バイオダイナミック製品の消費者のニーズにきちんと応えるために、ガイドライン〔96/5/EC〕の見直しを欧州委員会(保健・消費者保護総局)に要求しましたが、いまだ受け入れられておりません。 欧州委員会は、最低ビタミン含有量は食品に関する科学委員会で十分協議した上で決まったことで、これを見直す必要性を生じさせるような新たな科学的研究成果はいまだ出ていないという立場を堅持しています。

デメターはこれとは異なった見解をもっています。 FAO / WHO合同食品規格委員会がより低い基準を定めているのも、科学的な研究に基づくものです。 またデメターはガイドラインの廃止を主張しているのではなく、合成添加物を使用している食品だということがわかるような表示方法を規定することを求めています。 EU市民は自分たちの食事の管理が出来ないほど未熟なので栄養摂取を「強制的に促進」(compulsorily enhanced)してやる必要がある、という政府の考え方に、デメターは異議を唱えています。 また、このことは、自己決定ができる人間像を掲げるEUの理念と矛盾する、とデメターは考えます。 少なくとも選択の自由は守られるべきだと。

これまでのロビー活動を振り返ると、丁重かつ客観的な根拠に基づいた働きかけでは欧州委員会を動かすことができないということがわかりましたので、我々はブリュッセルで広報活動にさらに力をいれる必要が出てきました。 デメター・インターナショナルのブリュッセル事務所では、当事者の生産者とともに、ヨーロッパ消費者機構(BEUDC)からの支援や協力関係を獲得しようと考えています。 これが成功すれば、2007年9月中旬にブリュッセルで「食品の安全、ビタミン補給、そして消費者の選択の自由」というテーマで円卓会議を行い、そこに欧州委員会の保健・消費者保護総局を招待する予定にしています。

この会議にELIANTが参加し支持することは、私たちの活動にとって非常に重要です。 広報活動と会議を通して私たちが目指しているのは、保健・消費者保護総局がガイドライン〔96/5/EG〕を見直すことを真剣に検討し、できれば2008/2009に協議事項とするよう、彼らを説得することに他なりません。

事例2
EU法によるバイオダイナミック農法の堆肥用調合剤製造への侵害

2002年11月、EUは動物の副産物の使用を規制する衛生法〔1774/2002/EC〕を可決しました。 この法令は、バイオダイナミック農法の調合剤づくりに必要な動物の内臓組織の使用を厳しく規制、又は禁止するというもので、バイオダイナミック農法に重大な影響を与えています。 これによって、牛の角、腸、腸間膜、頭蓋骨(生後12ヶ月を超えた牛)の使用が規制されているのです。

EU内で起きたBSE(牛海綿状脳症)の発生を受けて、欧州委員会は、消費者を保護するために飼料や肥料、加工で動物の副産物が使われないよう衛生に関する条項の内容をより厳しくしたという経緯があります。 消費者を守るために法規制を設置するということは理解できますが、バイオダイナミック農法が、生命力が充溢する要素(この場合は未処理の内臓組織)を使用することで効果を引き出すということや、この農法を守るために特別な法的措置をとる必要がある、という考えは無視されています。

この法令は現在、見直しが行われています。 デメター・インターナショナルが国やEUに対し徹底的に根気強く働きかけをしてきたおかげで、最初の改正案ではバイオダイナミック農法の問題が考慮されることになっています。 しかし、最終案でも確実に、バイオダイナミック調合剤の製造が守られるよう、今後も引き続き働きかけをしていく必要があります。

遺伝子組み換え作物(GMO)に関するEUの不適切な法令によるバイオダイナミック農法への脅威

有機農業や環境保護の団体は、長年に渡りEU委員会に対し遺伝子工学が人間や自然、環境に与え得る危険性を訴え続けてきました。 しかしながら、残念なことにEU委員会は極端にGMO寄りの政策を続けています。 EU委員会はGMO生産者とGMOを生産しない農業の「共存」が、後者を危険にさらすことなく可能であるという立場をとっています。 これまでにEUは次のような法令を公布しています。

  • ECガイドライン〔2001/18/EC〕 試験目的並びに商業用の遺伝子組み換え作物の環境への放出に関する規定。
  • EC条例〔1829/2003/EC〕 GMOを含む、あるいはGMOを原料とした家畜用飼料と食料品の循環に関する規定。
  • EC条例〔1830/2003/EC〕 GMOを原料とする家畜用飼料と食料品のトレーサビリティーに関する規定。

バイオダイナミック農業にとってたいへん重要なことは、さまざまな場面で対策が急がれているにもかかわらず、EU委員会がEUレベルでの共存の基準となる法令を発布しようとしない点です。 バイオダイナミック農法が将来も生き残るために緊急に必要な法令には、以下の基本的な原則が保障されなければなりません。

  • GMO生産者は他の農業への汚染を確実にゼロしなければならないということ。
  • 食品の遺伝子汚染を許さないこと。 また、最近決定された0.9%という汚染の限界値を容認しないこと。
  • 共存のためのコスト並びに経済、環境に与えるダメージはGMO生産者が負担すること(汚染者負担原則の適用)。
  • EU諸国おいてGMOの生産を許可するか否かの決定は各国に委ねられること。

EUでの見境のない遺伝子工学の利用や行き過ぎた農産業への有利な計らいに抵抗するデメター・インターナショナルの活動をELIANTが支持することがいかに重要か、以上のことからおわかりいただけると思います。

  • Brussels, 18.5.2007
  • Andreas Biesantz
  • Demeter International
  • Brussels Office
  • Rue du Trône 194
  • B-1050 Bruxelles
  • Belgium  
  • Guideline 96/5/EG of 16 February 1996 on cereal and other first foods for babies and infants. Official Journal L 49 on 28.2.1996
  • FAO/WHO: Codex Alimentarius Commission, 26th Session, Bonn, Germany, 1-5 November 2004 (ALINORM 05/28/26)
  • The regulations are contained in ordinances (EC) nos. 178/2002; 852/2004; 853/2004; 854/2004 and 882/2004
  • SANCO accused of undermining food safety in “Better Regulation” drive. EU Food Law No. 299, May 4, 2007.
  • Auswirkungen veränderter Hygieneanforderungen auf die Agrar- und Lebensmittelwirtschaft. Concluding report  28 July 2006, Öko-Institut e.V. Freiburg i. Brsg.
  • Hygieneregelungen und Lebensmittelqualität – Die Verbraucherschutzpolitik muss umdenken. Nikolai Fuchs and Karin Huber. Forschungsring-Materialien 14 April 2004. Published by: Forschungsring für Biologisch-Dynamische Wirtschaftsweise e.V., Darmstadt.

※ 次の記事
医療と医薬についての事例

この翻訳は2008年6月7日のELIANTワールドディに向けて公開された暫定のものです。 今後、適宜改訂していく可能性がありますことご了承ください。

■ 本ページの改訂記録 ■
参照ページ
http://www.eliant.eu/new/lang/en/?p=36
公開日
2008年6月8日
最終改訂日
現在のところ未改訂
■ 翻訳協力 ■
ELIANTワールドディ翻訳プロジェクトチーム
浅野英公子 / 浦上裕子 / 中村麻理 / 冠木友紀子 / 秋元香里
ブレイクリー よしこ(カナダ) / 多々良陽子(カナダ)
監修・編集
入間カイ / 佐藤雅史