アジア太平洋のアントロポゾフィー・イニシアティブ

アジア太平洋のアントロポゾフィー・イニシアティブ

Asia-Pacific
Anthroposophical Initiative Group

以下は1996年にフィリピンで開催された第1回代表者会議に向けて制作されたアクションアジェンダの全文です。 それがアジア太平洋地域のアントロポゾフィー運動においていかに先進的な内容であったか、そして現在もなおその内容は古びていないことを、皆さんの目でご確認ください。

第1回の会議に向けて公開されたアクションアジェンダ

アジア太平洋地域のアントロポゾフィーの課題

1996年11月1〜4日 フィリピン・ケソン市

プログラムデザイン

当会議における各国ごとの報告とAPECに関するディスカッションは、「アジア太平洋地域におけるアントロポゾフィーの役割は何か」という、会議のテーマである問いへの答えの模索のために必要な第一歩として、一連の出来ごとを皆さんに知ってもらうために行うものです。 全員出席のディスカッションでは、こうして報告されたそれぞれの国での徴候や、APECにより促進されているアジア太平洋地域の急速な経済発達に関する実状をもとに、この会議のテーマへの答えを見いだしていきたいと思います。 APECの問題はきわめて重要なことであり、1996年11月25日は、フィリピンを開催国として18カ国の大統領、首相、首席が集まるという注目すべき日となります。 最初から意図されていたのではありませんが、APEC会議の直前にこの同じ国で、アジア太平洋地域のアントロポゾフィー代表者たちの最初の会議が行われるのは、何を意味することになるでしょうか。

同様に重要な出来事は、今後30年の長期的な国の開発計画に、社会三分節の枠組みを世界ではじめて、公的に明瞭にし採用しようとする国が、アジア太平洋地域から現れたことです。 すなわちフィリピンのことですが、これは何を意味し、暗示するでしょうか。

これら二つの主要な要件が熟考され、アジア太平洋地域におけるアントロポゾフィーの今後の展望と目標とが、より明確になることが望ましく思われました。 こうした展望は、ミカエルのインスピレーションに値するためには、たとえあるひとつの地域に焦点を合わせるにしても、必然的に全世界的なものでなければなりません。 展望と目標とが明瞭となれば、次に、アジア太平洋地域でのアントロポゾフィーの仕事を導き、支えるための活動の提案が持ち上がってくることが望ましく思われました。

日程とプログラム(略)

テーマ:文化が持続的に真価をもつために ― 活動の計画

現代の世界での問題

  • エンターテインメントのとりこになることと、文化上の消費主義は、経済における利己主義をいっそう強め、経済破壊の原因となっている。
  • ナショナリズムのマイナスの側面が、民族の争いと社会的分裂へと駆り立てている。
  • 全世界的な資本体制と性急で配慮のない合理主義は、人々を極端な富者か、もしくは経済破たん者(失業者やホームレス)かにふるい分けている。
  • 唯物論的な思考に過度に依拠している。

どのように変化をもたらしていくか

  • アントロポゾフィーの人間像により、問題への関心のもち方を人間の包括的なあり方へ向かうよう広げることができる。 同時に個人それぞれの尊厳もまた保たれる。
  • 民俗文化や地域に根付いた文化の価値を高める。
  • 利己主義の克服をめざすイニシアティブを支援する。
  • 方法論というあり方:イデオロギーを教えるのではなく、ともに学ぶ。 個人あるいは民俗的な芸術や技能、持続する娯楽、催しから互いに学ぶ。
  • 固有の文化、個人の創造性、現代的芸術性、技能、技術を伴う霊性を、互いをとおして自覚していく。
  • 精神科学にもとづく集中と瞑想による精神性の発達の教授。

現代の時代霊であるミカエルは何が達成されることを望んでいるか

  • 時代霊の祝祭を人間もともにすること。
  • 人間存在がいっそうバランスのとれたものになること。
  • 自然と社会と技術のあいだの調和に生きること。
  • 全世界的に人間の自覚を高める。
  • 人間の必要とすることに相応しており、人間の潜在力を開発し、かつ自然と調和した真の共生を実現する社会をつくること。
  • 霊的で倫理的な価値を発する、文化的なものの自覚。

アントロポゾフィーにみられる諸状況

現在の状況と問題

  • アントロポゾフィーをオアシスとする徴候。
  • 個々の組織内部での負担や業務が過多なため、ほかから孤立すること。
  • 個人の能力が広い場で有効に使われていない。 個人の専門的経験が共有されていない。
  • 経済的、社会的制約。

どのように変化をもたらしていくか

  • アントロポゾフィー協会の基本的姿勢、形態を伸展する。
  • 互いに権限を与えあう。 ネットワーク化。 互いの国の内部においても社会的歴史的な情勢にのっとった橋渡しの仕事をする。
  • さまざまな分野での専門家を派遣できるアジア太平洋センターを立ち上げる(バイオダイナミック農業、教育、マネージメント、科学、成人教育などの分野)。
  • 地域的かつ国際的な能力の養成。 国際語の使用。 一集団内でのマンネリズムの克服。
  • 組織化:アジア太平洋会議、およびそれぞれの専門家によるシンポジウム。
  • 地域のニーズを知り、専門家によるコンサルタントや講演を主催する。
  • アジア太平洋地域の代表者によるイニシアティブグループの設立(一年に一度定期的に会合)。
  • 霊学(精神科学)自由大学の設置。

    ※ 第一クラスの活動をもつことを指している(編注)

  • ゲーテアヌム本部の代表と理事との調整。

現代の時代霊であるミカエルは何が達成されることを望んでいるか

  • アントロポゾフィーを代表する者たちが、社会一般やさまざまな専門の分野で呼びかけを発すること。
  • 文化や経済における、個人や社会の福利のためのイニシアティブを支援すること。

アジア太平洋地域におけるアントロポゾフィーの役割

活動の計画

オーストラリア
  1. 国際会議(1998)の開催立候補
  2. 成人教育および教師養成コースの題材供給
  3. 霊学(精神科学)自由大学の会議と分科会の進展に参加
カナダ
  1. ヴァルドルフ幼稚園教員の養成(バンクーバー)
  2. ヴァルドルフ教育(トロント)
ハワイ
  1. アジア太平洋地域のニューズレターの作成
  2. ヴァルドルフ教育の題材供給
  3. アジア太平洋会議の開催立候補
インド
  1. 地域文化の持ち味を提供
  2. 次回のアジア太平洋理事および代表者会議(1997)の開催立候補
ニュージーランド
  1. バイオダイナミック農業の養成コース
  2. ヴァルドルフ教育のコース
  3. 霊学(精神科学)自由大学
フィリピン
  1. アジア太平洋地域のユース向けプログラムの開催立候補
  2. アジア太平洋地域連絡業務のための名簿の作成と管理
  3. オルタナティブな医学と療法のワークショップ
  4. アジア太平洋地域と世界との橋渡し
  5. ニーズ:オイリュトミー
アメリカ合衆国
  1. 成人教育研修(ヴァルドルフ教育/治癒教育)
台湾
  1. ニーズ:ヴァルドルフ教育に関する講義および題材供給
  2. ニーズ:ヴァルドルフ教育を援助するほかの運動との接触
  3. アントロポゾフィー・イニシアティブ会議(1998)の開催立候補
タイ
  1. アジア太平洋会議の開催立候補

この翻訳は1999年10月20日に公開された試訳です。

■ 翻訳 ■
APAC 2000 翻訳プロジェクトチーム
廣井洋子 / Santos実 / 杉井由美子
監修・編集
佐藤雅史