Jun. 2008 / No.72
四川大震災
成都ウォルドルフ学校現地報告
中国・四川省の地震の被害はすでに伝えられている通りです。 震源地の近くの都市、成都にある成都ウォルドルフ学校も死傷者は出なかったものの、建物などに被害が出ました。 学校と震災被害への支援金窓口をフォーラム・スリーに開設することにいたしました。 以下の同校からの報告をお読みの上、ご協力いだければ幸いです。
2008年5月25日 フォーラム・スリー 佐藤雅史
報告1:2008年5月16日 成都
友人の問い合わせへの返信より
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支援窓口のご案内
- 寄付はフォーラム・スリーでお受けし、まとめて送金します。
ゆうちょ銀行振替口座
(郵便振替口座)フォーラム・スリー
00160-9-606986※ 通信欄に「成都シュタイナー学校支援」と明記してください。
- 集まった支援金は全額を成都ウォルドルフ学校の中国銀行の口座に送金します。
http://wc.fritzsch.net/en/
送金にかかる手数料はフォーラム・スリーおよび有志が負担します。- 支援金は学校の被害の回復のためにお使いいただきます。 万一余剰が出た場合、あるいは学校側の判断においてより有益な用途があるとみなされる場合には、学校以外の震災救済に支援金が用いられる可能性があります。
- 支援金の報告は月刊オープンフォーラムの誌面および本サイトにてご案内いたします。
- 支援金管理責任者
フォーラム・スリー
〒162-0044
東京都新宿区喜久井町20
tel.03-5287-4770
fax.03-5287-4771この記事をA4サイズ1枚にまとめたPDFフライヤーをご利用ください。
地震後、4日が経ちました。 余震が時々感じられますが、かなり穏やかにはなりました。 成都はおおむね通常の生活に戻りつつありますが、まだテントや路上の車で暮らす人々がいます。 学校や幼稚園は依然閉鎖されています。 大多数の建物は、安全性を確かめ、消毒する必要があり、人々は慰めを求めています。
深刻な被害をうけた地域の状況は、あまりにも悲劇的で、言葉になりません。 地震の後に恐ろしいのは水源の汚染であり、伝染病であり、負傷者を隔離しなければならないことです。 成都ウォルドルフ・スクールも、大きな試練に直面しており、子どもたちや親が幾晩かを過ごせるよう校庭にテントを提供しています。
同時に、教師たちは父兄とともに、子どもたちが肉体的にも精神的にも守られ、慰められて、この困難なときを乗り切れるよう、働きかけています。 水が汚染されるかもしれないので、十分な水と食料を用意しました。
余震が収まってきたので、学校事務局はテントから教室に移りました。 誰も負傷しておらず、十分な食べ物があって睡眠をとれる、この大きな幸せに感謝しています。 私たちは、被災地の被災者にも関わり、教師たちはともに、亡くなった方と生存者のために祈り、母なる地球に感謝と善なる意志をささげ、この試練の時を乗り越え、人類が世界の現状を振り返られるように、精神界からのより大きな力を求めています。
わが校の教師たちは、精神を奮い立たせて校内で働いています。 地震後、片付けや消毒を手伝い、父母と連絡を取っています。
私たちは2台のトラックも手に入れました。 テントや毛布や衣服や飲料水など救援物資を被災地に送るためです。
教師たちは自ら計7,000人民元をなけなしの給与から募金しました。 また若い教師たちはほぼ全員、被災地でのボランティア、とくに子どもたちを慰安する仕事に申し込んでおり、呼ばれれば今すぐ行ける状態です。
現在、学校施設が破壊されたことが最も大きな問題で、幼児のための3つの部屋と事務室が危険にさらされ、もはや使えない状態です。 被災したエリアは535uにのぼり、40mにわたってフェンスも倒壊しました。 現在、建設家と技術者の力を借りて、修繕のための予算づくりに取り組んでいます。 建物の問題を早く解決し、子どもたちが通常の学校生活に戻ってこられるよう、私たちは最善を尽くしています。
被災後、中国国内や海外から多くの厚いお心遣いをいただき、深く感謝しています。 この世界中からの心温まる思いやりに私たちは感動し、力づけられています。 物質的な援助だけではなく、精神的な激励もさらに大切な贈り物です。 みなさんが私たちのためにしてくださったことに、深く感謝します。
心を込めて
リー・チャン(Li Zhang) 成都ウォルドルフ・スクール
訳:NPO 法人うめの森ヴァルドルフ子ども園運営委員有志
報告2:2008年5月19日 成都
親愛なる友人たちへ
5月19日付の情報です。被災後の最新情報をできる限りお伝えしようとしています。
四川大地震発生後8日目になります。 今日は、ここ数日の私の経験をまとめようとしていたのですが、一時間ほど前、TVとラジオで「数日以内に大きな余震がありそうなので備えるように」との警報が流れました。 人々は路上にあふれ、道路には車がひしめき合う騒ぎ。 成都市内は巨大なカオスとなりました。
下校したばかりの教員のほとんどと、子どもたちや保護者の幾名かが学校に戻ってきました。 教員には漏れなく情報を伝え、非常時に備えてもらうよう呼びかけています。 今、私たちは苦しみの中にいます。 大きな困難に直面し、人々は神経過敏になっており、緊張と失意を感じています。
ヴァルドルフの活動
この2日間、私は教育省が組織した心理療法家たちのチームに招かれ、大学の教員たちと共に活動をしています。 救助活動、心理的ケアの取りまとめに加え、教育省が配布するパンフレットやガイドブックの作成も行います。 ヴァルドルフ学校の教員として、このような特別な活動への参加要請を受けたことは素晴らしいと思います。 専門家の中に、シュタイナー教育関係者の医療施設での取り組みに高い評価を下している方々がいるのです。 ズゥウー(Zewu)さんと私とで、数多くのミーティングやトレーニングコースに参画しています。
今日は、私たちの学校から、さらに12名以上がボランティアとしてチームに参加し、被害の大きかった綿陽に行きました。 多くの被災者が避難生活を送っています。 そこで、「テント学校」が開校されたのです。
300人の子どもたちが、巨大なテントの中で私たちの教員に導かれ、ゲームをしたり、歌ったりしました。 保護者やボランティア、報道陣も100名ほど取り巻いていました。 互いに知り合いでもない数百の子どもたちが、ともにゲームを楽しむことができたなんて信じられますか? ゲームの最中にも続々と子どもが加わってきたりで、私たちが初めに計画していたようにはやれませんでした。 何しろカオスでしたし、雑音もあり、テントの中は蒸し蒸ししていました。
けれども私たちの勇気ある教員はひるみませんでした。 子どもたちに椅子と机を移動させ、地面に丸く座らせました。 遠くの方にいる子にも見えるように、教員は体中で表現しました。 名前も知らぬ同士でしたが、一緒に歌い、手を叩き、ステップを踏み、互いに挨拶をしました。 こんなことができるとは信じられません。 想像以上のことができたと思います。 子どもたちは喜び、生き生きとして、もっともっとと遊びたがりました。 しかし、中には心から参加できない子もいました。 親がまだ見つかっていない子どもたちは特にそうでした。 年長の子たちほど心に深い傷を負っており、心理面のケアがすぐにも必要です。
現在「普通」の状態に見える子どもたちは、第一ステージにいるのだと専門家から教わりました。 安全な環境、生活物資と暮らしのリズム、愛されている実感をもつことが必要です。 遊んだり、新しい学校カバンもプレゼントされ、通学できる状態になれば、この子たちは大丈夫です。 危険がすべて去って普段の生活に戻りさえすれば、の話です。 置かれている状況の変化に気づいたとき、心の傷もあらわになります。 彼らにはこの先にも大きな困難が待ち受けているのです。 特に、愛する人たちを失った子、身体が不自由になってしまった子にとって。
謝辞
本訳(原文は英文)の作成には日本の全日制シュタイナー学校関係者がつくるネットワークのご協力を得ました。 この場を借りて深く御礼申し上げます。
今回、多くの個人や組織、政府機関が力を結集し、この分野での対応に取り組んだことは素晴らしいと思います。 特にこの数日出会い、ともに働いた政府の役人たちには、深い感銘を受けました。 私は政治には興味がなく、政府に対して一面的な見方をしていたと思います。 しかし、こんどのことを通じて、初めて私たちの政府にも見所があることを知りました。 彼らの真摯な対応は立派なものです。 人間のもつ真善美が、自然災害をきかけに表れたことを感じます。 しかしそれは、多くの人々の死を伴うものでした。 私は願っています。 精神世界にいる存在がこの瞬間を目撃することを。 真実の愛が私たちのいる空間を満たすこの瞬間を。 彼らはこのような素晴らしい魂が私たちに息づく姿を見て、平安を感じることでしょう。
命あるもの、取り巻くすべてのものに、皆様の愛が注がれますように。
リー・チャン(Li Zhang) 成都ウォルドルフ・スクール
訳:うらかみ ゆうこ(学校法人シュタイナー学園理事)
初出:月刊オープンフォーラム Jun. 2008 / No.72
