Jun. 2006 / No.52
羊毛とパステルの
素敵な手仕事空間!
オープンフォーラム早稲田・手仕事チーム インタビュー
毎月第4木曜のオープンフォーラム早稲田には、思わずほっとする温かな空間が広がっています。 今回は、「こんな場を探していました!」という声が届く「小さな手仕事講座」の人気の秘密を、講師の皆さんにうかがいました。 お茶とおしゃべりと手仕事の空間の扉が開きます!
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矢崎美恵子さん
2人の手ごわい娘さんを成人させ、いまは自分の時間を楽しんでいらっしゃいます。 自分の経験を語って、子育ての苦労を少しでもラクにさせてあげたいという思いであふれています!
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山方美由紀さん
男の子2人と女の子1人のお母さん。 とにかく器用な手で手仕事をなんでもこなします。 生活を楽しむアイディアも豊富。 看護師の経験もあり、子どもの病気のことも相談に乗ってくれますよ!
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しまだ れいこ
「よいアイディアはすぐ実現」の行動派! 豊富な人生経験で、「早稲田の母」と呼ぶ人も…。
誰が来てもすっと入れる場所
司会:手仕事講座が好評ですね。
矢:そうなんです。 新幹線を使って青森や新潟からもいらっしゃるんですよ。 大阪から来てくださった方も。
しまだ:講座のオープンなところが魅力的なのかしら。 子どもを幼稚園に送ってから駆けつけて、お迎えに間に合うように帰る人もいるし、逆に子どもをお迎えして一緒に楽しみに来る人も。 赤ちゃん連れで来ても違和感がないんですよ。 障碍のあるお子さんを連れていらした方が、「この子がこんなに違和感なくすっと入れる場所は初めて」とおっしゃっていました。

羊毛の作品「三匹のくま」
矢:そう、とても静かに遊んでいましたよね。
第4木曜日のこの場所は、どんな時間にどんな人がどういう風に来てもいいという気もちで、私たちに受け入れる準備ができています。
それに大御所の先生の講演会だと、「私なんかが行ってもいいのかな」ってちょっと引くじゃないですか。
私たちは、たまたまシュタイナーを20年かじっているというだけのそこら辺のおばさん。
敷居が低いでしょう(笑)。
私たちを入り口にしてもらって、意欲のある人はもっとレベルの高い学びへ進んでいただけたらと思っています。
しまだ:おいしいお茶とお菓子で講座の余韻を楽しめるのもいいみたい。
矢:お茶って大事なんですよ。 芸術活動は天上に上っちゃうところがあるから、それを地上に引き戻すのに…。
司会:気軽におしゃべりしたくなるんじゃないですか?
矢:そうなんです。 「うちの子、こんなことしちゃったんです」「そんなこと、うちでもあったわよ」なんてね。 私たちは失敗談もたくさんもっているし、「でも、こうしたら変わったわよ」とか、「いまはこうした方がよかったと思っているのよ」って言える。 それを聞くと、みんな安心できるみたい。
年配の方でも、「シュタイナーって難しいですよねぇ」と、共感しあえる。 「少しずつ学んで真摯に人生を送りたいね。 でもどうやったら学べるの?」と、同じ立場に立って話ができる。
それはフォーラム・スリーがオープンな雰囲気でがんばってきた、その延長にあるんだと思うんです。 れいこさんや佐藤さんがここを設立した趣旨が生きているから。
司会:その発言絶対に載せます!(笑) ところで、いまのお母さん方って、どんな悩みが多いんですか?
オープンフォーラム早稲田
小さな手仕事講座
- いつでも出入り自由!
- お子さん連れ歓迎です!
- お弁当ご持参歓迎!
お問い合わせはフォーラム・スリーまで、お気軽にどうぞ。
ちいさな編みもの
編むのは初めてという方から中級者の方まで楽しめる編みもの講座。 鍋つかみや靴下など、実用の作品なら愛着はひとしおです。
講師:山方美由紀
パステルの色の世界へ
水彩よりも手軽に扱えるパステルを使った「にじみ絵」体験です。 季節を題材にしたオリジナルポストカード、誰に贈りましょうか。
講師:矢部恵子
パステル「私だけの絵本」
四季の変化をうたった詩に、私だけの絵をつけて絵本にしましょう。 毎月1枚ずつ描いていくゆったりしたテンポがいいのです。
講師:矢部恵子
生活の体験を語りあう
矢:いまは母親の文化が切れちゃっているんですよ。 みなさん大学を出て教養もあるし立派な方だと思うんですが、子育てのなかでの季節感の伝え方とか、「生活する」という母親の役割についてはよくわからない。 どうやって遊んであげたらいいのかとか、散歩でどんな言葉かけをしたらいいかとか。
しまだ:情報過多でがんじがらめになっちゃってる。 自分の考えでこう育てたい…というのではなく、マニュアルに書いてあることしかできない。
山方:シュタイナー教育でも同じで、「何々しなければいけない」とか「何々してはだめ」って、がんじがらめになってしまう。 自由のために勉強しているはずなのにどんどん不自由になっちゃうのはなぜ?(笑)
司会:なるほど。 そういう悩みを話しながら、発見があったりする。
矢:ありますね。 昨日も竹の子のゆで方をレクチャーしたんです。 やってみれば意外と簡単で、丸ごとならゆでたものより安いし、皮もついているし、「昔は残った皮で梅干を巻いて吸ったわね、貧乏だったわね」なんて(笑)。 旬の時期に香りを嗅いで、味わって、皮で遊んで、丸ごと竹の子を楽しんじゃう。 「ああ、春になって初夏になるんだな」っていう、それがシュタイナー教育の原点だと思うんです。 難しいことじゃないのに、みんな頭が良すぎるんですよ。
山方:みんなまじめなんだよね。 子育てなんて適当にやればいいんだけど、適当って難しいみたい。
「自分なりの適当」を学ぼう!

「花ひらく」Aさんの作品
矢:だからパステルがいいんです。
パステルはもう、適当の世界ですから。
「どれくらい塗ったらいいですか」「はい、適当でいいですよ」。
自分の感覚でいいんです。
濃い人もいて薄い人もいる。
隣の人と違う絵ができてそれでいい。
なにが正しくてなにが間違いなんてないんですよ、絵は。
パステル作品展
「三つの色展」開催中!2007/6/29 Fri.−7/13 Fri.
ギャラリーf3にて

「花ひらく」Bさんの作品
自分の感覚を信じて色を重ねていったら、なんとなく風景画になっちゃった。
花が咲いちゃった。
その体験が大事。
「適当」っていうのはどうでもいいということじゃないくて、「適度」なんです。
自分のなかの適度というのを再発見できるんですよ。
結果として皆さん素敵な絵ができるんだけど、完成に至るまでの自分の心の動きとか葛藤とか、そういうものを体験することがパステルの目的なの。
司会:手仕事の方はどうですか?
山方:ニードルフェルティングの場合は形をつくっていく作業です。 自分がこういう形にしたいという意思をその物質の中に込めていく作業なので、最初はおしゃべりしているんだけど、だんだん自分の世界に入っていって、静かになっちゃう。 黙々と手を動かしながら、いつまで経っても固くならなかったり、自分の世界に入り込みすぎてカチカチになるまで刺しちゃったりと、自分の意志の弱さや思い込みの強さに気づいていく。 できた人形を他の人のものと比べる楽しさや気づきもあります。 何体も作っているうちに、いろいろな「適当」が見えてくる。
それから編み物。 編み物を経験せずに大人になる人たちが増えてきていますね。 編み物って、紙の上の図面から立体的に作り上げていくでしょう。 これは理性的に物事を組み立てていく作業なんです。 左右対称に、同じリズムで編んでいく理性的な作業を無意識にできることは大事なことなんです。

羊毛の作品「キツネの親子」
もうちょっとがんばろう、ここまでやろうという小さな目標を積みあげていくのが編み物なので、そういう体験を子どものときにするのは大事なことです。
だからシュタイナー学校でも1年生から編み物をするわけで、それを大人になった人たちにも経験してもらいたいと思っています。
パステルが感情、ニードルフェルティングが意志なら、編み物が思考というわけ。 3つがないと完成しない。
司会:それでこそフォーラム・スリー。 どうもありがとうございました。
初出:月刊オープンフォーラム Jun. 2006 / No.52


