Jul. 2005 / No.43
土と人を甦らせる農業
マカイバリ茶園の宇宙
マカイバリジャパン インタビュー
紅茶といえばダージリン。 そのダージリン地方でもっとも古い歴史をもつマカイバリ茶園は、世界最高品質の紅茶を生産するバイオダイナミック農園でもあります。 今回は、茶園主の来日講演を機に日本アジア総代理店のマカイバリジャパンを訪問。 マカイバリの名を背負って立つ女性3人へのインタビューです。 (写真:東京ドームの145倍、670haもの広さをもつマカイバリ茶園)
マカイバリの名を贈られて
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マカイバリ
バイオダイナミック物語茶園から逃げだすことしか頭になかった英国帰りの若きマハラジャ、スワラージ・クマール・バナジー(左上の写真)は、1970年のある日、ひとつの啓示を得た。 家路を走る愛馬の前に猪がとび出し、竿立ちになった馬から彼は投げ出されたのだ。
落ちる瞬間、彼は樹木と自分を結ぶ白い光の帯を見た。 木々は歌っていた。 「私たちを救って」と。 彼を受けとめたのは、瀕死の悲しみを歌う森だったのだ…。
生まれ変わった彼は、勉学と自らの直観によって、茶園を生命力あふれる生態系へと変容させていった。 人智学との出会いは第二の啓示だった。
人智学に基づく農法は、耕地をとりまく環境全体の循環のなかに農業を位置づけていた。 天体の運行、地勢や気象、森、草地、沼沢、そこに棲むあらゆる生き物、表土の有機物と地中の鉱物、そして人間…。
その宇宙の中心に人間が目覚めつつ立つことの意味を、マカイバリの豊饒が静かに語っています。
Forum3:皆さんとマカイバリとの出会いについてお聞かせください。
洋子:主人の吉浩の仕事がもともと商社で、インド駐在を最後にフリーになったとき、友人から紹介されたのです。 3代目園主(バナジーさんの父親)が日本の市場を開拓したがっているから会ってほしいと。 主人は重い腰を上げてダージリンに行ったのですが、3日後、たいへん感激して帰ってきました。 「自然環境がすばらしい。 紅茶がおいしい。 あんな紅茶は飲んだことがない。 働いている人たちもいい関係で、農薬を使わずにシュタイナーとかっていうやつをやってるんだ」って。
「瞑想をしていたら、紅茶を扱う日本人の適任者がやってくるとわかった。 それが君だ」。 行ったとたんにこう言われたんだそうです。 帰るときには「日本市場はぼくに任せてくれ」と、手を握りあったそうです。
Forum3:何年前のことですか?
洋子:8年前です。 その当時まだオーガニックという考え方が日本には広がっていませんでした。 150年の伝統をもつ英国王室御用達のマカイバリ紅茶も、当時の日本ではまったく理解されなかったですね。 オーガニックというと逆に「まずい」というイメージがあったくらいです。 とても苦戦しまして、そうしたらラジャさん(茶園でのバナジーさんの愛称)が「総代理店の権利をあげるからやってみろ」と言うんです。 「マカイバリの名を石井ファミリーにあげよう」って。 そういうことは前例がなくて、ほかにはどこにも名前をあげていないというんですね。
主人(写真)がインドに残って駐在することになり、家族以外にはマカイバリの名を託せないわけですから、会社をやれるのは私しかいない。 私はわけもわからず会社づくりに奔走しました。 やっとの思いで立ち上げたとき、某シンクタンクで経営コンサルタントをしていた長女の道子がいろいろな方を連れてきてくれたんです。 ジャーナリストとかデザイナーとか、「面白そうだから」って、わんさかわんさか、たいへんな騒ぎでした。 大学院にいた次女の博子も、いつも手伝ってくれていました。 いまは得意なデザインやインターネットの分野で働いてくれています。
◆ 石井洋子さん(右端)
日本と海外での25年の教師暦を経て2000年よりマカイバリ茶園アジア・日本総代理店代表。 日本と茶園との懸け橋となるプロジェクトにも取り組み、日本とインドの往復をする日々。
◆ 石井博子さん(右から2番目)
学生時代よりインドのNGO活動に参加。 専門は教育開発。 マカイバリジャパンでは国際協力部門を担当し、白内障キャンプなどダージリン地区への協力プロジェクトを手がけている。
◆ 石井道子さん(右から3番目)
某銀行系シンクタンクを退職し2001年に入社。 主に営業活動を中心に活動。 多くの方にマカイバリの理念や取り組みを伝えるため、試飲会や販促活動、大学での講義を積極的に行っている。
マカイバリジャパンは東京・中野の静かな住宅街にある古い一軒家(取材当時)。 おいしい紅茶に話がはずみ、4時間近くも話し込んでしまいました。
Forum3:創立は何年ですか?
洋子:2000年の5月29日です。
道子:あっ、昨日が記念日だった!
洋子:あっ、そうだった。
Forum3:この紅茶で乾杯しましょう。
一同:おめでとうございます!
Forum3:フォーラムと同時期のスタートというのも不思議なご縁です。
洋子:5年前というのは、ちょうど有機JASの認定が始まった時期です。 さっそく申請して、有機JAS紅茶第一号の認定を取りました。 世の中も国もオーガニックということを言い始めて、結果的にはいい風向きだった。 でも、営業的にはまだまだだめでしたね。 皆さんびっくりされるんですけども、梱包から発送まで私ひとりでやっていたんですよ。 道子が入りたいと言ってきたのは、1年経ったころです。
道子:小さい会社は売れる販売をしなくちゃいけないと、たくさん営業して、入社1年目は大赤字を出しましたが、翌年はとんとんになりました。
洋子:いいお客さんばかりだったので、口コミで裾野が広がっていった。 インターネットの普及も大きかったです。
森と畑と人、マカイバリの宇宙
Forum3:みなさん、茶園にはよくいらっしゃるのですね。
道子:ええ。 茶園は標高1300mほどで、ヒマラヤの山々が見下ろしています。 敷地の3分の2は原生林のまま残されていて、3分の1がお茶園です。 その中に7つの村があり、1,700人の人々が住んでいます。
広大な茶園
東京ドームの145倍、670haもの広さをもつ広大なマカイバリ茶園。 茶園があるダージリンはネパールと国境を接する高原地帯です。 そこで働く村の人たちはみなアジア系の顔だちです。
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シルバー・ティップスとヴィンテージは特別に条件のよい茶畑を選んで念入りに栽培された最高級茶葉。 今年の茶葉は、ラジャさんが「14年ぶりの傑作」と喜ぶまさに極上の品です。
いずれもフォーラム・スリーでお求めになれます。
フォーラム・スリー
tel.03-5287-4770
博子:森のなかに茶畑がある感じなので、季節の鳥や動物や虫たち、花粉や土などが紅茶に影響します。 春摘み、夏摘み、秋摘みと、季節の移り変わりが紅茶の風味に反映されています。
道子:広大な森には世界自然保護基金(WWF)に登録されているベンガル虎も2頭います。 レンジャー隊が毎日追跡調査して保護している。 トラ部隊とか、鳥部隊とか、いろいろな人たちが茶園の森に入って活動しています。
Forum3:様々な文化現象が共存して、ひとつの文化圏をつくっているんだ。
洋子:よく、“多様性”とか“ホリスティック”という言葉がラジャさんの口から出ます。 なにかいい例が見つかると、「これがそういうことだよ」と教えてくれる。 経営も同じだよって。 「じゃあ、どうしたら?」と聞くと、「そういう気もちをもっていると自然にそうなるよ」って言われます。
博子:私は学生時代にインドの国際協力プロジェクトの失敗例をたくさん見てきました。 インドは人の上下関係が明確な社会です。 失敗の原因の多くはそこにあると思うんです。 ラジャさんが違うのは、茶園の人たちと心がつながっているところです。
マカイバリ紅茶が飲めるお店
- MAIKO茶ブティック
京田辺市田辺中央5-1-7滝山ビル1F
HOME PAGE >>- レストラン・アンゴロ
渋谷区神宮前3-38-12パズル青山1F
HOME PAGE >>- アレッサンドロ・ナニーニ
カフェお台場
江東区青海1丁目地先パレットタウン
HOME PAGE >>- オーガニックレストランHOME
青山・クレヨンハウス東京店内
HOME PAGE >>- マダムミクニ
新宿区若葉1-18
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※ 本格フランス料理と一緒に味わうならオテル・ドゥ・ミクニがおすすめです。- フォーラム・スリー
新宿区喜久井町20
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茶畑を毎日7、8時間かけて歩き、茶摘みの女性に声をかける。 全員の名前を覚えています。 ラジャさんには、自分もひとりの農民であり、みんなが支えてくれて今があるという明確な意識があります。
道子:他の茶園でストライキが起こったりしても、ここではみんな生き生きと働いている。 子どもたちもみんな、茶園に残って働きたいと思っている。
Forum3:バナジーさんのお父さまもそのような方だったのですか。
博子:ええ。 ただ、ラジャさんとは対立がありました。 農薬を使う農法をラジャさんが信念をもって変えたんです。 なぜそれが可能だったのかと聞いたら、「相手に理解してもらうことがいちばん大切だ。 でも、それを真っ正面からやってはいけない」というんですね。 相手の言葉に言葉で返す、暴力を暴力で返す。 それはいけない。 手段を尽くして理解を得ることだと。
洋子:いまはダージリンも20以上の茶園がオーガニックに切り替えて、そのお茶が日本にも一斉に出てきています。 ラジャさんは、「ダージリン全体がいい環境になっていくのだから、それはとてもいいことだよ」って。
紅茶は一般的に、何種類かの茶葉をブレンドしてブランドごとのテイストをつくっています。 でも、私たちは本物のマカイバリのおいしさをお届けしたい。 だから取材を受けても、茶園と皆さんを結びつける黒子に徹してきました。 でも最近、「そろそろ私たちも表に出ていいのでは」という話をしていたんです。 こういうかたちでお話するのは初めてなんですよ。
Forum3:栄誉ある第一号を賜わり光栄です。 楽しいお話をありがとうございました。 おいしいお茶にも感謝!
ラジャさん講演会 / 紅茶試飲会 in オープンフォーラム早稲田
2005/6/10 マカイバリ茶園主来日講演会1
マカイバリ茶園主のスワラージ・クマール・バナジーさん来日講演会が池袋で開催されました。 大盛況の講演会はフォーラム・スリーもサポートしました。
2005/6/10 マカイバリ茶園主来日講演会2
実際に会うととても若々しい印象のバナジーさん。
This is spiritually Makaibari.
…ラジャさんはこの言葉をよく使います。
2005/6/25 マカイバリ紅茶試飲会1
オープンフォーラム早稲田でマカイバリ紅茶の試飲会を開きました。 インド駐在の石井吉浩さんがガイドをつとめてくださいました。 「うん、おいしい!」
2005/6/25 マカイバリ紅茶試飲会2
紅茶をいれた後、茶葉を広げると、摘んだそのままの葉のかたちが! わーおっ!
2005/6/25 マカイバリ紅茶試飲会3
茶葉の香りもしっかり楽しんでください。
初出:月刊オープンフォーラム Jul. 2005 / No.43 ◇
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※ マカイバリ紅茶はフォーラム・スリーでお求めいただけます。
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