Jun. 2005 / No.60
「間違っていい!」から始まる
ストーリーテリング
今月のこの人:ウィム・ウォルブリンクさん インタビュー
オランダからやってきたストーリーテラー、ウィム・ウォルブリンクさん…。 オープンフォーラムでの講座「英語で“語り”の世界へ」は大好評。参加者の反応がとってもよいので、「どんな人なんだろう?」と、さっそく会ってきました。 6時間にわたるワークショップで何が起こったのか…?! (写真:2005年 栃木でのインタビュー)
Forum3:先日の講座はとても好評でしたね。
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ウィム・ウォルブリンクさん(左)
オランダ・ストーリーテリング協会役員。 ヴァルドルフ教員養成プログラムを学んだ後、英エマソンカレッジのストーリーテリングコースおよびStorytelling as Healing Arts 修了。 現在プロのストーリーテラーとして、子どもから大人まで幅広い対象に公演や講座を行っている。
写真右は、ウィムさんの友人でストーリーテラー、言語造形家でもある鈴木裕子さん。 今回の通訳を務めてくださいました。 感謝!
ウィム:人数もちょうどよかったので、3名ずつの4グループに分かれてできました。
語りには霊的=精神的な呼吸が大切です。 私の最終的な目的はストーリーテリングではなく、呼吸をもう一度学ぶことなのです。 だから私は、講座の流れそのものに呼吸が生まれるよう気を配ります。 聴くことと語ることを振り子のように行き来することで、呼吸を強くします。 学びに集中した後は、何か楽しいことをして解き放ちます。
私のワークショップは、エーテル的な作用のシャワーです。 参加者が温かなシャワーを浴びることで、自然な呼吸を回復できるようにと考えています。
Forum3:なるほど。 実際にはどのように進めたのですか?
ウィム:まず、参加者が安心できる場をつくり出します。 そのために、私は最初に輪をつくりました。 輪というものは安心感をもたらすものです。 実際、講座の終わりにはみんな家族のようになっていましたね。
次に、ボールをもって、お互いに投げ合いました。 投げるときは、受け手と目を合わせます。 よい語り手は聴き手をちゃんと見ることができるのです。 そして、ボールを投げるときに、相手の名前を呼びます。 ここで重要なのは、とっさに名前を間違えたり、様々なハプニングが起きることです。
失敗を認め合うことが必要なのです。 日本の文化では人々はいつも正しいことをしなければならないと思っていますが、「ああ、間違っていいんだ」と思えるとリラックスできますよね。
2006年のワークショップ風景
全人間を使ったウィムさんのワークショップに、参加者は胸いっぱいの充実感を持ち帰りました。
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Dr.Hauschka PR
インタビューの後は食事をしながら、言葉のこと、文化のこと、恋人のこと、いろいろなことを語らいました。 Dr.ハウシュカのことが話題になると、ウィムさんはおもむろにバッグから愛用のハウシュカを取り出し、おすすめポーズ!
ここではまだ、語りは出てきません。 次にやったのはグループごとの輪唱です。 歌は心から生まれて来るので、感情が目覚めるのです。 歌うことは、喜びですし、呼吸でもありますね。 輪唱の輪は次第に小さなグループに分かれてゆき、最後にはひとりになるプロセスを進みます。 大きなグループから小さなグループへ、そしてひとりで立つことへ。 安心感を保ちながらひとりになれるように。
次に、前後左右上下すべての空間に意識的になるために、ふだん意識しない上方や背後に意識を向け、イマジネーションの力で空間を把握します。 身体を前進させるときも、自分の背後にイマジネーションの空間を感じ続けることができれば、前後の空間すべてに気づくことができます。 そしてふたたび意識を自分の中心に戻します。
自分が大きな球体のなかに立っているとイメージしてください。 私たちは世界の中心にいるのです。 それなのに、私たちの意識は目の前の小さな空間にしか通っていません。 そこにはいつもテレビやパソコンの画面があるわけです。 それは不健康です。 とくに語りのパフォーマンスは、すべての空間に目覚めていなければできません。
Forum3:現代人は視覚に大きく依存していますね。
イマジネーションを育む
ストーリーテリングを行うとき、私の意識の背景には大きな人類の進化の流れというものがあります。 遙か彼方の目標や近い目標を目指していくために、私はストーリーテリングを道具として使っています。 遙か彼方の目標とは、神が世界や人間を創造したように、遠い遠い未来に私たち自身が別の世界を創造することです。 同時に、現在における私たちの目標を知ることも大切です。
いま私たちに必要なのは、イマジネーションの力を開発することです。 人はそれぞれ異なる使命をもって生まれてきますが、それが何であるかを知るためにはイマジネーションが必要です。 霊的な世界は、私たち人間を通して地上に働きかけたいと望んでいます。それが私たちの使命に他なりません。 霊的世界からのインパルスは、私たちの内的なイマジネーションのスクリーンをノックします。 私たちが心から何かをやりたいと思うのは、その瞬間です。
自分が本当にやりたいことが明らかであるとき、私たちは幸せに生きることができます。 イマジネーションを育むことの背景にはこのことがあるのです。
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日本語サイト「ウェルダー語りの輪」
www.werder.jp
Verteltheater Werder
www.werder.nl
ウィム:ええ。 ただ、このエクササイズは目を開いたまま行います。 見ることで環境が自分のなかに入ってきます。 それと同時に視界にない空間にも気づくことが大切です。 良い悪いではなく、アントロポゾフィー流にバランスをとることが重要なのです。 空間のなかにバランスを発見することで、内的に目覚め、自我が目覚めるのです。
ここでようやく、私たちは物語に取り組みました。 まずあらすじを書きました。 人間の知的な部分に働きかけるためです。 次に、身体全体を使って粘土で形づくり、意志を働かせました。 次にパステルを使って…。 「貧しい乞食」を色で表すとしたら、どんな色だと思いますか?
Forum3:茶色かな。
ウィム:私も茶色を選びました。 色は人間の感情といちばん結びついている要素です。 こうして私たちは、思考、意志、感情すべてに働きかけたわけです。 私たちの外にあったお話は、いまや私たちの内側にあります。
そしていよいよ実際に語ります。 最初に小さなグループのなかで語り、次に各グループからひとりずつ出てもらい、全員の前で語ってもらいました。
私はやる気ということがとても大事だと思っています。 グループのなかで誰がやる気や熱気をつくり出したかを見ました。 熱気、暖かさ、安心感が人々を励まして、前へと進めました。 だから選ばれた3人は、勇気をもって一線を越えることができたのです。 3人が成し遂げたことは、他の人たちにも達成感をもたらしました。 これが6時間の実りです。
参加者がワークショップを通して、「自分がいったい何なのか」ということに気づいたのは、嬉しかったですね。 その人の自我が、肉体、エーテル体、アストラル体に問うたのです。 目覚めた自我がその人の全人間存在に問いかけたのです。
初出:月刊オープンフォーラム Jun. 2005 / No.42
ウィム・ウォルブリンク再々々来日 2008 Summer
パフォーマンス ● レクチャー ● ワークショップ
◆ 2008.8.9 Sat. 8.10 Sun. 10:00 - 17:00
ワークショップ2日間
「語り基礎講座」
◆ 2008.8.9 Sat. 19:00 - 21:00
ストーリーテリング・レクチャー
「プロフェッショナルな語り手として生きる」
◆ 2008.8.11 Mon. 8.12 Tue. 10:00 - 17:00
ワークショップ2日間
「物語を通して自分を見つめる」
◆ 2008.8.15 Fri. 〜 8.17 Sun. 10:00 - 17:00
ワークショップ3日間
「ストーリーテリング・マスター講座」
◆ 2008.8.16 Sat. 19:00 - 21:00
パフォーマンス/ストーリーテリングと音楽
「内なる声に耳を澄まして」
※ 初めての方でもご参加いただけます。
ウィム・ウォルブリンク再々来日 2007 Summer
パフォーマンス ● レクチャー ● ワークショップ
◆ 2007.7.27 Fri. 19:00 - 21:00
ストーリーテリング・レクチャー
「よみがえるストーリーテリング」
◆ 2007.7.28 Sat. 19:00 - 21:00
ストーリーテリングと音楽のパフォーマンス
「男と女はどのようにめぐりあい、ともに生きるのか」
◆ 2007.7.28 Sat. 7.29 Sun. 10:00 - 16:00
ストーリーテリング2日間ワークショップ
「ストーリーテリングの世界へ!」
※ 初めての方でもご参加いただけます。
